(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職でまとまった額の退職金を受け取った場合、銀行にお金を預けても利率が低すぎて増えず、もったいない気がしてしまいます。銀行がそういう人によく勧める商品に「退職金プラン」というものがあります。しかし、セゾン投信創業者の中野晴啓氏は、そういった「退職金プラン」はおすすめできないといいます。中野氏が著書『1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法』(PHP研究所)より、その理由を解説します。

投資信託の購入時手数料の一例

この投資信託の購入時手数料は、購入金額が1,000万円以下の場合、税抜きで3%です。したがって、この投資信託を500万円分購入したとすると、購入時手数料の金額は、

 

500万円×3%=15万円(税抜き)

 

になります。

 

つまり、この銀行は、退職金プランの特別金利で、通常の金利に比べて8万6,000円も多い利息を支払ったとしても、セットで販売した投資信託から15万円の手数料を受け取ることができるのです。結果、差し引きで6万4,000円の儲けになります。

 

しかも、銀行が稼げる収益は購入時手数料だけではありません。このケースでは、信託報酬が年1.13%(税抜き)課せられます。

 

信託報酬は投資信託の純資産総額に対してかかるものなので、仮に500万円で純資産総額が変動しなかったとすると、徴収される信託報酬は年間5万6,500円になります。

 

販売金融機関である銀行は、通常、運用管理費用の半分程度を受け取るのが業界慣習なので、この5万6,500円がまるまる銀行の儲けになるわけではありませんが、プランの利用者からすると、当初1年間でかかる購入時手数料と信託報酬の合計額は、500万円に対して20万6,500円(税抜き)にもなるのです。

 

これでは、いくら定期預金の特別金利で8万7,500円の利息が受け取れたとしても、到底ペイするものではありません。

 

正直、退職金プランのどこが利用者にとってメリットなのか、さっぱり分かりません。「退職金プラン」という一見、便利そうな言葉に騙されてはいけません。

 

仮に退職金を60歳で受け取ったならば、一度に「退職金プラン」に預けるのではなく、「新NISA」の非課税枠を活かし、65歳までの5年間か、70歳までの10年間をかけて積立投資していきましょう。

 

中野 晴啓

セゾン投信創業者

 

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1冊でまるわかり 50歳からの新NISA活用法

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中野 晴啓

PHP研究所

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