父の遺産めぐり…長男と長女で大バトル
相続のシーンでは、故人の遺産をめぐりドロ沼の争いになることが少なくありません。特に「きょうだい間に収入格差」があると、相続人の間で不平不満が噴出してしまうことも……。
たとえば下記のような例。自分事ではなくとも、親戚や友人で身に覚えのある人はいないでしょうか。
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〈土屋さん一家の事例〉
長男のアキトシさん(60歳/仮名)に激怒したのは、長女のメグミさん(57歳/仮名)。事の発端は、1ヵ月前に父が他界し、遺言書を開くことになったのが始まりでした。
母は5年前に亡くなっているため、相続人はアキトシさんとメグミさんの2人。自宅と預貯金約3000万円が遺されていました。遺言書の内容は非常にシンプル。《アキトシに現金2000万円、メグミに1000万円相続させる。自宅はアキトシに継いでもらう》との一文でした。
しかしこの文言を見た途端、メグミさんの顔色が変わります。
「おかしくない? なんでお兄さんだけ相続分が多いのよ」
自宅は、土地・建物ともに父の名義でした。「自分には家庭もあるし家はいらない」と考えていたメグミさんでしたが、その分現金は多くもらいたいと考えていました。
というのもメグミさん、2人の息子を大学に進学させて以降、資金繰りがかなり厳しいことに。夫は定年を迎え、現在は嘱託社員として働いています。メグミさんもパートタイムで働いていましたが、裕福とは言い難い状況でした。
そんな折、追い打ちをかけるように「老後資金2000万円問題」が話題になります。不安を募らせているなかでの遺産分割。譲るわけにはいきませんでした。
「お前、結婚式の費用だしてもらってたからいいじゃないか。俺が家継ぐんだから、相続税だって多分払うことになる。損じゃないだろう全然」