課税事業者との取引が多い場合は、転換を検討すべきだが…
個人事業主のなかで事業者向けの取引が多い業種には、エンジニアやプログラマー、デザイナー、個人タクシー、一人親方、士業、などがあります。取引先が課税事業者だと、インボイスの発行を求められる可能性が高いため、課税事業者への転換を検討するべきといえるでしょう。
一般消費者との取引ならインボイスは不要
一方、一般消費者向けの取引が主な場合、無理に課税事業者への転換を行う必要性は低いといえます。
一般消費者、つまりプライベートで買い物したり、サービスを受けたりする人向けの取引が多い業種としては、飲食店や小売店、美容院、フードデリバリーなどが挙げられます。これらは免税事業者のままでも、インボイスを求められることが少ないという点で影響は少ないでしょう。
ただし、会社員が経費として利用する目的が多い場合は注意が必要です。例えば、接待や打ち上げなどに多く利用される飲食店の場合、経費にするためにインボイス対応の領収書の発行を求められることが想定されます。「インボイスに対応していないと経費精算時に経理から指摘される」という理由でインボイス発行事業者のお店へ顧客が流れてしまう可能性があるため、課税事業者への転換を検討する必要があるでしょう。
また、主な取引先が簡易課税制度を採用していたり、免税事業者である場合は、インボイス発行が不要な可能性があります。
★インボイス発行を求める可能性が低い取引先
◆一般消費者
◆売上が5000万円以下の比較的小規模な会社や個人事業主
⇒ 取引先が簡易課税制度を採用している可能性が高いため
◆売上が1000万円以下の小規模な会社や個人事業主
⇒ 取引先も免税事業者である可能性が高いため
わからない場合は取引先に確認しよう!
★一般消費者との取引が多い業種の例
クリーニング店・ネイルサロン・エステサロン・マッサージ店
スポーツジム ・音楽教室・英会話教室・学習塾・セミナー講師
居住用住宅の賃貸オーナー・医療機関
……など
★会社員との取引による落とし穴
会社としての利用が多い場合、免税事業者のままだと取引先が減る可能性がある。
葛西 安寿
税理士