(※画像はイメージです/PIXTA)

「相続税対策」としてよく紹介される方法の一つが、生命保険を活用する方法です。しかし、税金だけにとらわれていると、組み方を誤り、相続人の間の争いを誘発する原因になってしまうケースもあります。実は、生命保険を活用する場合、「相続税対策」以外にも2つの問題に目配りする必要があります。恐ろしいことに、生命保険の営業マンでも間違えることがあります。実際に生命保険を組む際に留意すべき点について、解説します。

機能2|相続争いの予防(法定相続分・遺留分対策)

第二の機能は、相続人の間の争いを予防することです。実は、これが相続対策で最も重要な問題です。

 

相続の最終的な成功は、税金を抑えることよりも、残された遺族が円満に仲良く暮らしていってくれることにあります。

 

したがって、相続争いは最悪の事態であり、最も回避しなければならないものです。

 

相続争いになりやすいのは、相続財産を公平に分割するのが難しいケースです。特に深刻なのが、不動産や、自身が経営する会社の株式(自社株式)など、上手に分割することが困難な財産の比率が多いケースです。

 

たとえば、複数人いる子のうち一人に先祖代々の家を1人に引き継いで住んでもらいたいとか、自身が経営する会社の全株式を後継者1人に引き継いでほしい等の場合がこれにあたります。

 

これらの場合は、法定相続分と異なる分け方をしなければなりません。そのためには、遺言(公正証書遺言)を残しておかなければなりません。

 

ただし、遺言を残すだけでは解決できないケースもありえます。それは、目的財産を承継させる者以外の相続人の遺留分を侵害する場合です。

 

遺留分は、法定相続人の最低限の取り分です。したがって、本人の遺言をもってしても取り上げることができません。

 

もし、他の相続人が遺留分を主張した場合、お金で解決するしかありません。

 

すなわち、目的財産の承継人は、遺留分を侵害した分をカバーするための代償金を支払わなければなりません。

 

しかし、代償金の額が大きいと、承継人が支払えない可能性があります。

 

そこで、そうなる前に、生命保険に加入し、目的財産の承継人を死亡保険金の受取人に指定しておくのです。そうすれば、代償金の原資を準備してあげることができます。

機能3|相続税の納税資金準備

第三の機能は、相続税の納税資金の準備です。

 

相続人が相続税を支払う段になって、納税資金を自力で準備できるとは限りません。

 

特に深刻なのは、相続財産が不動産や自社株式といった現物である場合です。

 

不動産の場合、売却してお金を準備しなければなりません。自社株式の場合はそもそも市場で売却できません。

 

そこで、事前に生命保険に加入し、相続人を受取人に指定しておけば、相続人が保険金を相続税の納税資金にすることができます。

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