「子育て支援」に向けられた給付・税制優遇措置の8つの制度
まず、現状における国の「子育て支援」に向けられた主要な8つの「給付」「税制優遇措置(所得控除)」の制度は以下の通りです。
【給付の制度】
・出産育児一時金
・出産・子育て応援給付金
・出産手当金
・育児休業給付金
・児童手当
・高等学校等就学支援制度(高校の授業料の実質無償化)
【税制上の優遇措置(所得控除)】
・扶養控除
・ひとり親控除
なお、これ以外に、地方自治体ごとに設けられている制度もあるので、確認することをおすすめします。
以下、それぞれについて解説を加えます。
「給付」の制度
給付による制度は、現状、出産時と子育て初期をサポートする制度がメインとなっています。
◆出産育児一時金
「出産育児一時金」は、国民全員加入の「健康保険」から一時金を受け取れる制度です。
女性が出産したら、原則として子ども1人あたり50万円を受け取ることができます。
以前は42万円でしたが、出産費用が年々上昇してきていることと、政府の「異次元の少子化対策」の方針の下、2023年4月から50万円に増額されました。
◆出産・子育て応援給付金
「出産・子育て応援給付金」は、「妊娠届出時」と「出生届出時」にそれぞれ5万円相当、合計10万円相当の経済的支援を受給できるものです。
2023年1月1日から施行された新しい給付金ですが、2022年4月以降に出産した人も受給できます。
受給に資格制限はなく、誰でも受給できます。
◆出産手当金
「出産手当金」は、サラリーマン・公務員が加入する「被用者保険」から、産前・産後の休業を取得したときに給与の3分の2の額を受け取れる制度です。
自営業・フリーランスの人には現状このような制度がありません。
ただし、2022年11月に、政府が、自営業・フリーランス向けに、出産手当金と次に述べる育児休業給付金に準じて、子どもが1~2歳になるまでに月2万~3万円の給付を行う制度の導入について検討を始めたことが報道されました。
◆育児休業給付金
「育児休業給付金」は、サラリーマン・公務員が加入する「雇用保険」に基づき、「育児休業」を取得した場合に給与の3分の2を受け取れる制度です。
これについても、上述したように、2022年11月に、個人事業主・フリーランス向けに月2万~3万円給付の制度を設けることの検討が始められたとの報道がなされました。
◆児童手当
「児童手当」は、中学校3年生以下の子どもを養育している人が、子ども1人あたり1ヵ月10,000円~15,000円を受け取れる制度です。
児童手当には所得制限の制度があります。「世帯主」の「所得」と「親族の数」を基準とし、「所得制限限度額」と「所得制限上限額」の2段構えになっています。
まず、「所得制限限度額」を超えると、一律月5,000円の「特例給付」のみとなります。そして、この特例給付も「所得制限上限額」を超えると受け取れなくなります。
しかし、この所得制限の制度は、従前から「子育て支援という目的となじまない」「『世帯』ではなく『世帯主』の所得で判断するのは不合理」などと批判されています。
また、現在、政府は、高校生にも月1万円を給付することとともに、所得制限を撤廃する方向を示しています。
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