ブランディング投資に大成功した「星野リゾート」
星野リゾートは、ブランディング投資による事業成長の成功例として注目されています。同社は、広告投資による一時的な利益ではなく、ブランドイメージや顧客満足度の向上など長期的な価値を追求することに力を注ぐことで、新規顧客創出や既存顧客のLTVを上昇させることに成功しています。具体的な事例をいくつか紹介します。
顧客ニーズに合わせた、5つのブランド展開
星野リゾートは複数のサブブランドをもち、それぞれさまざまな顧客のニーズに特化したサービスを提供しています。
たとえば、1人旅やビジネスマン向けには「大人の自由な1人旅」というパッケージブランドを展開し、1人旅を計画するポイントや星野リゾートならではの1人旅スタイルの提案をしてくれます。また、ファミリー向けには「リゾナーレ」ブランドで、子供連れ家族旅行をターゲットにした、豊富なアクティビティをそろえる西洋風のリゾートホテルを展開しています。
日本の観光市場のインバウンド比率は「18%」…国内顧客を重要視
星野リゾートはインバウンド客だけでなく、国内の顧客も大切にしています。日本の観光市場のうち、インバウンド比率は18%程度に過ぎないことを考慮し、インバウンドだけに依存することは避け、比率的にも規模の大きい国内顧客を大切にしています。
世界的にみても顧客サービスへの期待値が非常に高い日本人をメインターゲットとすることは、安定した質の高いサービス提供につながり、結果として海外顧客の評価にも繋がっているのです。
高品質な顧客サービスによる、ブランドイメージ向上
また、星野リゾートは「LTV(顧客生涯価値)」を重視しており、一時的な利益ではなく、顧客との長期的な関係を築くことに注力しています。たとえば、宿泊客からのアンケートやフィードバックを積極的に取り入れ、それをもとにサービスの改善や新たな取り組みを行っています。
さらに、顧客体験価値の観点においては、特定のスタッフが一組の宿泊客に対してチェックインからチェックアウトまでのあいだ、一貫してすべての業務(お食事からチェックアウト業務、客室業務、電話応対etc.)を担当する、マルチタスクオペレーションを導入しています。
これにより、滞在中にスタッフと宿泊客が何度も出会うことで、寄り添ったサービスを提案できるだけでなく、コミュニケーションを誘発させ、顧客のクレームや要望を瞬時に聞き入れ、サービス向上へ反映させることができます。
以上のように、企業の独自性や強みを明確にし、顧客とのコミュニケーションを深め、長期的な顧客との関係性構築に注力したオペレーションを徹底させることが、ブランディングへの投資領域であり、結果としてブランドイメージを高めることにつながるのです。
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