◆償還時に為替相場が「円高」に振れていると損失が発生するリスクがある
まず、最も重要なのが、債券の償還時に為替相場が購入時より「円高」に振れていた場合、損失(為替差損)が発生するリスクがあります。
そこで、重要なのは、為替相場の変動による損益分岐点、つまり、どこまで円高が進めば損失が発生するかを見極めることです。
この点については、後ほど改めて解説します。
なお、通貨の相場が安定している国の債券を選ばないと、その国の通貨が暴落して思わぬ損をする可能性があります。特に、新興国のゼロクーポン債は、利回りが高く設定されていても、通貨自体の大暴落のリスクがあるので、要注意です。
◆償還時の差益に約20%の税金がかかる
次に、償還時の差益は税制上、「上場株式等にかかる譲渡所得」にあたり、20.315%の所得税が分離課税でかかります。
しかも、投資信託の売却益等と異なり、「NISA」のような非課税の優遇措置はありません。
◆途中で売却すると損をする可能性がある
最後に、債券は、途中で売却すると損をする可能性があるということです。
どういうことか。もう一度、【図表】をご覧ください。
債券の価格は償還時に向けて変動し、償還時に額面の価格に到達します。
その途中で、もし、額面価格が購入価格を下回っていた時に売却してしまうと、損失が発生します。
◆補足|「デフォルト」のリスクについて
昨今、米国債の「デフォルト」のリスクが取り沙汰されています。これにより、債券投資の「リスク」を心配する向きもあるかもしれません。そこで、補足しておきます。
「デフォルト」という場合、真っ先に思い浮かぶのは、政府の債務返済能力がなくなり、支払いが滞ってしまうことです。そのリスクは、もちろん、ゼロではありません。
しかし、今回取り沙汰される「デフォルト」は、アメリカ連邦政府の「返済能力」とは無関係です。
すなわち、アメリカの連邦政府の債務の上限の引き上げをめぐり、政府(民主党のバイデン大統領)と議会(共和党が多数派)が対立していて折り合いがついていないことが原因です。
もしも「デフォルト」に陥ったとしても、政府の返済能力の不足に起因するものではないので、一時的なものにとどまるとみられます(その限度でのリスクがあるといえます)。