恐ろしい『中国の法律』…。中国にある「日本企業」や中国在住の「日本人」をも“徴用の対象”。すでに“前例”も【専門家が警鐘】

恐ろしい『中国の法律』…。中国にある「日本企業」や中国在住の「日本人」をも“徴用の対象”。すでに“前例”も【専門家が警鐘】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「台湾有事は日本有事」の危機が叫ばれる中、中国軍の本当の実力を解明することは喫緊の課題であり、中国の各種工作やマスコミなどの極端な論調に惑わされない冷静な判断が必要である、と元陸上自衛隊の樋口氏は言います。日本が直面する危機にどう備えるべきか、日本の安全保障・防衛体制強化の観点から考えます。本連載は、樋口譲次氏の著書『中国軍、その本当の実力は』(国書刊行会)を一部編集したものです。

このため、国有企業と民間企業の相互補完的な関係作りに取り組みつつ、米国の軍産複合体を目指すとともに、国有企業の規模・シェアの拡大と民間企業の縮小・後退を意味する「国進民退」を積極的に推進し、政府の官僚を「政務事務代表」としてアリババやAI監視カメラメーカーのハイクビジョン(海康威視)などの重点民営企業に駐在させ、政府官僚による民営企業の直接支配を進めている。

 

このような共産党一党独裁体制下での軍民融合は、軍事力の近代化・強化がすべてに優先する「軍国主義」化に拍車をかける危険性がある。

 

軍民融合政策と同時に警戒しなければならないのが、「国家情報法」である。同法は、「国家情報活動を強化及び保障し、国の安全及び利益を守るため」(同法第1条)、国内外の情報工作活動に法的根拠を与える目的で作られた。

 

その第7条では「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない」と定め、国内外において一般の組織や市民にも情報活動を義務付けている。

 

つまり、中国は軍民融合政策と国家情報法を一体として運用しており、そのことは、日本や台湾の企業や研究者が意図せずして、あるいは気付かないうちに、中国軍によるドローンや人工知能(AI)などに係る民間の最先端技術や専門知識の取得を助け、新たなリスクを生み出す危険性があることを意味する。

 

このように、中国は、軍事活動に民間の組織や公民を動員する体制を敷き、また、軍の近代化のために民間企業の先進的な技術やノウハウを利用しようとして、民間セクターと軍事の境界を曖昧にし、あるいは排除して軍事分野に積極的に活用する動きを強めている。

中国軍、その本当の実力は

中国軍、その本当の実力は

樋口 譲次

国書刊行会

徹底した秘密主義と権謀術数を常套手段とする中国の政治・軍事の実情を知ることは、至難の業である。 「台湾有事は日本有事」の危機が叫ばれる中、中国軍の本当の実力を解明することは喫緊の課題であり、中国の各種工作やマス…

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