勉強をする理由
どうして勉強をする必要があるの?
誰しもが、人生で一度は、このように考えた経験があるのではないでしょうか。
そんな「勉強する理由」について、僕が感じることは次の通りです。
まず、勉強することで、よりよい学校に進めば進むほど、自分の周りに優秀な人ばかりが集まります。自分にとって、尊敬できるような人が周りに集まると、日々のモチベーションへとつながり、自分の成長のために欠かせない栄養剤となります。
もしかすると、学校で出会った友人が、将来のビジネスパートナーになるかもしれません。学校で出会った素敵な恋人が、将来の結婚相手になるかもしれません。出会いや経験はすべて「一期一会」であり、そこには必ず「勉強」や「学び」というプロセスが溶け込んでいます。
また、学生は勉強を通して、良くも悪くも「成功」と「失敗」の経験を繰り返すことになります。
僕は、高校一年生の最初のテストで赤点を取りかけたことがあります。しかし、高校三年生になって、いざ受験に挑戦する頃には、私立大学を受験せずして、現在通う大学に合格できたことは、大きな成功体験になりました。この経験は現在の僕にとっての揺るぎない自信につながっています。
どんなに大きな失敗があっても、それは必ず次のステップへ進む「糧(かて)」となります。だから、本当の意味で言うと「失敗」ではないのかもしれません。「成功」であろうと、「失敗」であろうと、勉強を通じて得られる経験は、僕たちが生きていく上での大切な思い出や、青春をつくってくれるというわけです。
やる気は、行動しないと出てこない
ある東大の教授は、「やる気を出すための方法について考える時間ほど無駄なものはない」「やる気という言葉はやる気のない人間によって創作された『虚構(うそ)』である」と表現しました。
科学的な話をすると、人間の「やる気」は、脳内で分泌される「ドーパミン」というホルモンによって引き起こされます。この「ドーパミン」が分泌されるのは、脳の「側坐核(そくざかく)」と呼ばれる部分で、実はこの「側坐核」が活性化されるには、実際に行動を起こさなければいけないということが脳科学の実験ですでに証明されています。
つまり、「このゲームを1時間やってから勉強しよう」とか「とりあえずベッドで横になってスマホを見てから勉強を始めよう」と後回しにしていても、側坐核は一向に活性化されることはありません。その結果「ドーパミン」も分泌されることはありませんから、やる気を出すどころか、いつまでたっても怠けモードから抜け出せない状態に陥ってしまうのです。
そのため、もし、あなたが本当にやる気を出したいのであれば、とりあえず机に向かって、教科書を開くとか、筆箱からペンを取り出すなどの小さな行動を起こす必要があります。つまり、この「ワンアクション」を起こせるかどうかが勝負の分かれ目ということです。
まずは1秒でも良いので、行動に移さない限りは本当に何も始まりません。
大切なことなので、もう一度いいます。
行動することでしかやる気を引き出すことはできません。
「行動する」が難しいなら、「まず口に出してみる」
一方で、僕はこの脳科学の結論が優しくないなと感じました。
だって考えてみてください。やる気について困っている人は、その「ワンアクション」を起こすことに困っているからです。これが正直な本音でしょう。
多くの方は「やる気」と「モチベーション」を混同して使っているのではないでしょうか。先ほどの例のように、ゲームやスマホなど、自分の趣味や娯楽を勉強より優先させてしまうことは、誰にでもよくあることです。この時点ではもうすでに「勉強ができたらいいな」と考えている分、やる気を持ち合わせているので十分に偉いと思います。
ですが、「すぐに動ける人」の特徴としては、自分の優先順位を考えて行動できる人が大半です。つまり、「やる気」をきちんと「モチベーション」に置き換えないと、あなたの意志はすべて水の泡になってしまいます。ゲームをとことん楽しみたいなら、さっさと課題を終わらせる。好きなことをしたいなら、やることを早めに済ませてしまう。観たいドラマの放送時間まで、部屋の片付けをして備える。
その過程で、「勉強→ご褒美」「仕事→楽しみ」の流れが固定化されると、「気付いた時にはもうすでに勉強を始めている…! 自分偉い…!」という心理体験がどんどん当たり前になっていきます。そうやってやることを先に済ませるのが自然になると、
「自分はこんなことまでできるんだ」「最低限でも、ここまでやれてしまうんだ」
と、自分の新たな成長がどんどん嬉しくなります。そんなポジティブな思考が続くと、勉強と遊びの両立がどんどん楽しくなり、学業もプライベートも、幸せで充実したものになっていきます。
もうこの時点で、あなたのやる気はより良い方向に向かっています。ここで一度本を閉じ、やりたいことを早速始めてみてもいいかもしれません。あなたのやる気すべてが、より価値の大きなものへと変わりますように。
「勉強の成長曲線」を知っておこう
「もうすぐ受験生になるけど、何をすれば良いか分からない」
「周りはどんどん成績が伸びているのに、私は追いつくことができない」
「ただひとり私だけ、スタートラインに取り残されている」
このような悩みが続くと、すべてを投げ出したくなりますよね。だけど、もしあなたが今すぐに諦めようとしているのなら、全部あなたの勘違いです。
【図表】のグラフを見てください。これは、「学習の成長曲線」と呼ばれるグラフです。
成績とは、時間に比例して直線的に伸びていくのではなく、最初は低い状態が続いて、ある時期から急に曲線状に上がっていきます。つまり、最初の時期は、すぐに結果が出ないことが当然なので、それを理由に深く落ち込む必要はないのです。
僕もまさにこの線をたどるような受験生活でした。高3の夏にサッカー部を引退して、志望校を決定して、受験勉強を始めましたが、すぐに結果が出たことは一度もありません。ですが、きちんと計画を立てて、毎日少しずつ着実に勉強を続けていくことで、徐々に結果が見えてくるようになりました。実際に成績が伸び始めたのは、秋頃でした。だいぶ遅咲きのように思えますが、周りの皆も同じ様子でした。
受験生の多くは、成績が直線的に伸びるものだと思い込んでしまうことが多く、いくら努力してもすぐに成績が伸びないという現実に悩んで、勉強のやる気を損ねてしまうことが多いです。
安心してください。あなたはスタートラインに置いてきぼりにされたわけではありません。余裕を演じている友達も自分のペースで必死に走り続けています。ここで一度心を落ち着けて、少しずつ自分のやることを進めていきましょう。そうすれば必ずゴールが見えてきます。
pikeチャンネル
名古屋大学法学部卒業。「Study with me」やきれいなノートの取り方といった勉強系コンテンツのほか、白を基調としたシンプルで洗練された暮らしぶりをYouTubeで配信し、若い世代を中心に支持される。自身のブランド「White Studio」では使い勝手にこだわったペンケースやノートセットを制作するなど、文具開発も手掛ける。YouTube登録者数は約55.3万人(2023年5月時点)。