名大法学部〈現役合格者〉が教える「覚えていられない知識」を「パッと思い出せる知識」に変える暗記テク

名大法学部〈現役合格者〉が教える「覚えていられない知識」を「パッと思い出せる知識」に変える暗記テク
(※画像/pikeチャンネル著『pike式 シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法』〔KADOKAWA〕より)

定期テスト、受験勉強、資格試験…。どんな勉強でも最低限の「暗記」は必須ですが、暗記に苦手意識を持つ方は多いでしょう。なかなか覚えられない原因は、決して「暗記力がないから」ではありません。本稿では、登録者数55万人超のライフ×勉強系YouTuber、pikeチャンネル氏の著書『pike式 シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、暗記テクニックの基本を紹介します。

どんな勉強も、最低限の「暗記」が不可欠

どの科目でも、どんな勉強でも、最低限の「暗記」なしには成り立ちません。基本的に人は忘れやすい生き物ですから、テストで確実に点数を取れるようになるには、正しい暗記法を知っておく必要があります。

 

皆さんは「記憶」に3つの種類があることをご存知でしょうか?

 

①「感覚記憶」…五感を使って体で感じ取る記憶のこと

たとえば、電車の音や車の走行音、鳥のさえずりや川のせせらぎといった、日常の中で溢れている音を感じ取る記憶のことです。しかし、この感覚的なものをすべて記憶に残していたら、脳が情報で溢れ返ってパンクしてしまうことになります。

 

だから、人はこれらを一括して覚えようとせずに、数秒単位で記憶から排除するような仕組みになっています。

 

②「短期記憶」…感覚記憶よりも長く、ある程度の間は覚えることができる記憶のこと

たとえば、一度覚えたはずの英単語が、次の日になると忘れてしまっているとか、あの時は言えたはずの答えが、今はなぜか思い出せないとか。覚えたその瞬間は自信があった。けれどもそれは一時的なものにすぎなかったという記憶です。

 

ただ、これは「完全に忘れてしまった」というわけではありません。「脳のどこに情報をしまったのか分からなくなっている」という、脳内で落とし物を探している状態です。

 

一度忘れた単語も、最初の一文字目を聞くと一瞬で思い出すことができたり、クイズで分からない問題が出されても、ヒントを聞いたら答えがすぐに思いつくのが、まさに「短期記憶」の仕組みというわけです。

 

③「長期記憶」…いつでも簡単に取り出せる記憶のこと

先ほど説明した「短期記憶」は「どこにしまったか分からない状態」なのに対して、「長期記憶」は「どこにしまったか分かっている状態」です。

 

つまり、ヒントを聞かなくても、自分の力だけで答えを導き出せる状態のことをいいます。

人間の脳は「つまらないと感じたもの」を記憶しない

では、どうすれば、「短期記憶を長期記憶に変える」ことができるのでしょうか?

 

そもそも人は、「つまらない」「退屈だ」と感じたことは、自分にとって不必要な記憶と判断し、すぐその場に置いてこようとしてしまいます。たとえば、日常でふと耳に入った単語や文章なんて、人生においては大した意味をなさないように感じて脳は記憶してくれません。

 

だからこそ、僕らがやるべきことは、つまらないをとことん印象強いものに変える工夫をすることです。

 

そのために僕が実践していることは、次の3つです。

 

(1)覚えられないことをピックアップする

(2)手を動かして口に出してみる

(3)アウトプットを何度も繰り返す

(1)覚えられないことをピックアップしよう

これは、以前の記事でご説明した「印付け」と全く同じ目的です。

 

たとえば、次のテスト範囲の単語を、ある程度覚えきったという状態だったとします。でも実際は、すぐに思い出せる単語とそうでない単語があるはずです。そして「そうでない単語」ほど、いつになっても思い出せないということが多いです。

 

つまり、「覚えやすかった」という単語はもうすでに用済みで、あなたが注意しないといけないのは、初手で覚えにくいと感じたものです。

 

勉強においては、「どれだけ正解できたか」と考えるよりも、「どれだけ多くの間違えを残したか」を重視できるほうが優れているといわれます。なぜなら自分の苦手や間違えを理解していないと、そもそも「復習」はできませんし、高得点を狙うならなおさら自分の凡ミスをいかになくすかが勝負の鍵となるからです。

 

そのため、とりわけ「暗記」においては、「自分の強みを磨く」というよりも、いかに「弱みを消すことができるか」という点をポイントに考えたほうが良いでしょう。

(2)手を動かして口に出してみよう

これが暗記において、最も大きな効果を発揮します。

 

たとえば、マーカーで線を引く。チェックマークをつけておく。印付けする。モゴモゴと口に出して覚える。実はこうした作業は、(1)で覚えにくいと感じたものを印象強いものに変えて、より覚えやすくする効果があります。

 

このように、「なんとなく覚えにくいな」というものほど、触覚や視覚、聴覚といった感覚と関連づけて、自分の記憶に深く刻むことが大切です。

 

出所:pikeチャンネル著『pike式 シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法』(KADOKAWA)
【図表】付せんを貼って手を動かし、印象を強くする 出所:pikeチャンネル著『pike式 シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法』(KADOKAWA)

(3)アウトプットを何度も繰り返そう

人の記憶は、「穴が空いた壺の中の水」と例えられることがあります。つまり、定期的に記憶を継ぎ足さないと、数年後には覚えたことを完全に忘れてしまいます。

 

きっと皆さんのご両親も、学生時代に多くの授業を受けてきたはずです。それなのに、僕たちが学校で習ってきた内容はほとんど覚えていないですし、たまに質問しても答えを思い出せませんよね。何もせずに放っておくと、いつかは記憶が抜けきってしまうのです。

 

そのため、大切なのは、暗記を何度も繰り返すことです。

 

時には自分の脳に、「これちゃんと覚えている?」「今聞かれてもすぐに思い出せる?」と問いかけ、定期的にメンテナンスを行うことが必要です。空いた穴から水は流れるけど、また注ぎ直すことができるのは、あなたしかいないのです。

 

人は忘れたい記憶をすぐその場に置いてこようとする生き物です。良くも悪くもその出来事が特別・非日常的ではない限りは、簡単に忘れてしまいます。だからこそ、もし暗記力に困っている方がいるとすれば、それはあなたの性格や能力に問題があるのではありません。単に自分に合った暗記法を実践していないだけなのです。

 

勉強している内容が自分にとって退屈に感じると、すぐに「短期記憶」として「とりあえずしまっておこう」と脳が勝手に処理してしまいます。

 

そこで、皆さんが脳をそうさせないための工夫をする必要があるのです。収納の仕組みと同じで、あなたがどこに何をしまったか、それを普段からきちんと定めておけば、後から焦ってモノを探すことも、いざという時に探し出せなくて困ることもありません。

 

やることは、いたってシンプルです。覚えたことを忘れないように「忘れる手前で思い出す」のです。暗記→忘却→暗記の連続を、とことん繰り返していくのです。

 

 

pikeチャンネル

名古屋大学法学部卒業。「Study with me」やきれいなノートの取り方といった勉強系コンテンツのほか、白を基調としたシンプルで洗練された暮らしぶりをYouTubeで配信し、若い世代を中心に支持される。自身のブランド「White Studio」では使い勝手にこだわったペンケースやノートセットを制作するなど、文具開発も手掛ける。YouTube登録者数は約55.3万人(2023年5月時点)。

※本連載は、pikeチャンネルの著書『pike式 シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

pike式 シンプルな習慣で頭と心が「整う」勉強法

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