わかると怖い…“75歳以上”の「後期高齢者医療制度」保険料引き上げと「出産育児一時金」を一部負担させられることになったワケ

わかると怖い…“75歳以上”の「後期高齢者医療制度」保険料引き上げと「出産育児一時金」を一部負担させられることになったワケ
(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年5月12日に、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」の保険料引き上げを主な内容とする健康保険法の改正法が成立しました。保険料の引き上げは2025年度までに段階的に行われます。その一環として「出産育児一時金」の財源を後期高齢者医療制度から負担するしくみが導入されます。これにより、公的医療制度自体のあり方が根底から変わってしまう可能性があります。本記事で解説します。

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の「後期高齢者」と、一定の障害がある65歳~74歳の人について、医療費の自己負担割合を原則として「1割」とするものです。

 

ただし、所得の額によっては自己負担割合は以下の通り「2割」「3割」となります。

 

【2割負担】

・単身世帯で課税所得28万円以上、かつ「年金収入+その他の所得」が200万円以上

・複数世帯で課税所得28万円以上、かつ「年金収入+その他の所得」が320万円以上

 

【3割負担】

・現役並み所得者

 

2008年4月から、従来の健康保険制度とは別個独立の制度として導入されたものです。

 

75歳以上の後期高齢者は、医療費がかかるようになるにもかかわらず所得が低い人が多いので、現役世代が支援を行うしくみがとられています。

 

すなわち、自己負担額以外の財源は、現役世代からの「支援金」(約4割)と公費(約5割)でまかなうことになっています。

 

保険料の額は以下の2つから構成されています。

 

・均等割:被保険者全員が均等な額を負担する(単位:円)

・所得割:所得に応じて負担する(単位:%)

 

まず、「均等割」は、原則として均等な額を負担することになっており、所得が低い人については軽減されます。

 

次に、「所得割」は、所得に応じて負担割合が高くなっていきます。

 

そして、「均等割」と「所得割」を合計した額が最終的な保険料になります。

 

2022年度・2023年度の全国平均保険料率は、「均等割」が 47,777円、「所得割」が 9.34%です。

 

保険料には上限が設定されており、年66万円です(【図表1参照】)。

 

厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より
【図表1】後期高齢者医療保険制度の保険料のイメージ(2022年度・2023年度) 厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より

 

ただし、先日成立した法改正において、「所得割」の額が年収153万円以上の人について2025年までに引き上げられることになりました。

 

また、上限額についても、2024年は年73万円、2025年度以降は年80万円へと段階的に増額されることが決まりました(【図表2】参照)。

 

厚生労働省「後期高齢者医療の保険料について」より
【図表2】後期高齢者医療保険制度の保険料の上限引き上げ(イメージ)
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