開示請求は自分でできるのか?
誹謗中傷を受けた場合、発信者情報開示請求を自分で行うことはできるのでしょうか? 順を追って解説していきましょう。
開示が認められるハードルは高い
発信者情報開示請求を自分で行うためのハードルは、低いとはいえません。なぜなら、発信者情報開示請求は裁判になることが多く、裁判に関する知識が不可欠であるためです。
また、裁判所に訴えたからといって、必ずしも開示を認める判断を出してもらえるわけではありません。裁判所が開示を認める判断を出すだけの理由があると判断されて、はじめて発信者情報の開示を認める判断を出してもらうことが可能となります。
そのため、裁判所が判断するだけの理由を法的に整理して主張し、根拠となる証拠により立証することが必要です。これらの手続きには法律や裁判に関する高度な専門知識が必要であり、自分で行うことは容易ではないでしょう。
弁護士に相談がベター
誹謗中傷の投稿をした相手の発信者情報開示請求を行いたい場合には、弁護士への相談をおすすめします。弁護士へ相談することで、弁護士が訴状などを作成したり必要となる証拠についてのアドバイスをくれたりするため、スムーズな進行が可能となるためです。
特に、発信者情報開示請求を成功させるためには、スピードが非常に重要です。なぜなら、投稿から時間が経てば経つほど、ログが消えてしまう可能性が高くなるためです。ログが消えてしまうと、その後発信者情報の開示など法的措置をとることは困難となります。
そのため、誹謗中傷をした相手の情報開示請求を望む場合には、無理に自分で行おうとせず、できるだけ早く弁護士へ相談するとよいでしょう。
開示請求にかかる「費用」
インターネット上で誹謗中傷をした相手の発信者情報開示請求をしたい場合、費用はどの程度かかるのでしょうか? 手続きを弁護士に依頼した場合には、別途弁護士報酬が必要です。弁護士報酬は依頼先の弁護士や投稿の数や内容などによって異なりますが、おおむね30万円から50万円程度であることが多いでしょう。
開示請求にかかる「期間」
誹謗中傷投稿への発信者情報開示請求には、どの程度の期間がかかるのでしょうか? 誹謗中傷が行われた場所(SNS、インターネット掲示板など)や投稿者が契約しているプロバイダによって異なりますが、おおむねトータルで半年から1年程度を要することが多いといわれています。
内訳としては、第一段階となるSNS運営企業などへの開示請求で3ヵ月程度、その後行うプロバイダへの開示請求で半年程度です。
請求先となる法人が海外である場合の方が、国内法人である場合と比べて長い期間がかかる傾向にあります。請求をしてすぐに開示されるような性質のものではありませんので、ある程度長期戦となることを知っておいてください。
なお、プロバイダ責任制限法が改正され、令和4年10月1日から施行されました。この改正により、SNS運営企業への請求とプロバイダへの請求を併合して行えることとなっています。また、一部海外法人が日本にも登記を行った関係で海外法人であってもそれなりにスムーズに手続きが進むようになりました。
改正から日が浅いため今後の運用等次第ではありますが、これにより、情報開示請求にかかる期間が短縮されることが期待されています。