「お金」が孤独感の根源?…内閣官房の「年収別」孤独調査で分かった〈衝撃事実〉

「お金」が孤独感の根源?…内閣官房の「年収別」孤独調査で分かった〈衝撃事実〉
写真:PIXTA

居場所がなくても幸福と思える生き方とは?2040年には、独身者が「5割」に。だれも見たことのない、超ソロ社会が到来する。ますます個人化が進む中、私たちは家族や職場、地域以外に、誰と、どこで、どうつながれば、幸福度を高められるのか?また、親として、人生の先輩として、これからその時代を生きる子どもたちに何を伝えられるのか?ソロ社会及び独身生活社研究の第一人者、荒川和久氏の著作『「居場所がない」人たち』から一部抜粋してお送りします。

年収1500万円の人と年収300万円未満の人が友達になれるか

若者が結婚できない大きな要因のひとつに経済問題があるという話は本書の第一章でも書いたが、結婚や恋愛だけではなく、交友関係もまた個々人の置かれた経済環境の影響が大きいものである。

 

幼稚園でさえ、裕福な家の子と貧乏な家の子では通う園が違う。小学校や中学校では利害関係なく友達が作れるはずだというが、それはそもそもその学校に集まっている子どもたちが同じような年収の家の子という同類縁で構成されているからである。

 

学生のうちはまだ自分で稼いでいない分あまり意識はしないが、社会人以降になると知り合う友人はほぼ経済的同類縁に限られてくる。

 

同じ会社で同じ給料だからというだけではない。社外でも自分の収入と同じような相手としか出会わなくなる。収入に応じて住む場所も違ってくる。出かける店のレベルも変わってくる。

 

つまり、友達になれる間柄というのは大体同じような収入のある者同士となる。

 

収入が自分の環境を形成していくのであり、その環境の中で知り合う相手というのは基本的に経済同類縁なのである。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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たとえば、300万円に満たない年収の人間が年収1500万円の裕福な人間と一緒に遊ぼうと思っても、それを可能にするだけのお金がない。実施する趣味や行動にかけるお金のレベルも合わないだろう。

 

それでは友達になれない。

 

何より年収200万円台で生活をするとなれば、それこそ毎月カツカツの生活を余儀なくされる。一人暮らしなら家賃も光熱費もかかるわけで猶更である。まして、今後インフレが加速するという中、さらなる増税や社会保障費負担増がささやかれている。

 

額面の給料が増えても手取りは減るのである。それではお先真っ暗だ。自分一人生きていくのに精いっぱいで、誰かと一緒に遊んだりする余裕すらなくなる。

 

お金がないから人とのつながりもなくなるわけで、孤独の正体は貧困なのである。

まず、金をよこせ

孤独を苦痛と感じる人の根本が「人とのつながりがないことではなく、お金がないことの不安」だとするならば、話し相手がいればいい、とか、居場所があればいい、という前に「まず、金をよこせ」といいたいだろう。

 

勿論「金さえあれば人は孤独に苦しまない」なんて結論づけたりはしていない。逆に「裕福な人間は孤独にならない」という話でもない。

 

そんなことは当たり前の話だが、「貧すれば鈍する」といわれるように、「金がない」という環境は、人間のあらゆる行動を萎縮させる。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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何もしたいと思わなくなる。失敗したくないと思う。面倒くさいと思う。自分の姿形すらどうだっていいと思う。そんなもの気にしていられないと思う。

 

自分のことすら気にしない人間は他人のことを気にしたり、心配したりする余裕がなくなる。

 

そうした状態に陥ってしまうと思考の視野が狭くなる。精神的にも閉じてくる、病んでくる。

 

もし、そうした状態を「孤独に苦しむ」ということだとするならば、それを解決するのは個々人のコミュニケーション力や性格など属人的な問題ではなく、毎日を心配しなくていいお金という経済環境の話だったりするのではないか。

「居場所がない」人たち

「居場所がない」人たち

荒川 和久

小学館

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