相税務調査日のスケジュールと当日の注意点
税務調査には正直に対応しよう…2年を過ぎたころに連絡が入る「臨宅調査」
税務署から「相続税の調査に伺いたいのですが」との電話が入るのは、相続税申告書を提出してから約1年半後です。ということは、税務調査官は被相続人が亡くなって2年を過ぎたころにやってきます。
税務調査官が、相続人の自宅に調査に訪問することを「臨宅(りんたく)調査」といいます。これは調査官の顔見せと、疑問点を直接解決するためのもので、実際は臨宅調査時点で調査の8割が完了していると思ってください。
そもそも調査官は、追徴課税できる確信を持って各案件に臨んでいます。当日はあえて調査済みの内容でも相続人に質問をし、正直に答えるかどうかで、相続人が信用できる人物かを見極めます。
調査日当日の流れ…雑談からスタート
相続税の税務調査当日、調査官が午前10時ごろ原則2人でやってきます。名刺交換のあと、お茶などを飲みながら雑談(世間話)をしますが、これは相続人を和ませて、聞き取り調査をスムーズに運ぶためです。
ここで、相続人が憮然とした態度や喧嘩腰になると、調査官は手のひらを返したように厳しく対応するので要注意です。
聞き取り調査開始
調査は「提出していただいた相続税の申告内容の確認に伺いました」と、定型文のようなセリフからスタートします。
亡くなった人の基本情報を聞き取り、その後、家族についても現在の状況(年齢や住所、勤務先など)を聞きます。
疑問点を解決するための質問
臨宅調査を行う際、「相続人Aさんの預金は、名義預金として疑わしいので調査にきました」などいう調査官は一人もいません。
調査官は直接的な発言で相手を警戒させるのではなく、以下のようなさりげない質問を繰り返すことで相続人の退路をふさぐのです。
出身はどこですか……先代名義のままで持っていた土地がないかどうか。
お金の管理はどなたがしているのですか……配偶者に預金が流れていないか。子どもが親のお金を管理していないか。
どんな趣味がありましたか……趣味などで年間いくらの支出があったか。ゴルフが趣味であればゴルフ会員権を持っていないか。
病歴・死亡原因を教えてください……病気で意識がなかったのに、預金を引き出したのは誰か。認知症の疑いはないか。
お子さんやお孫さんの勤め先を教えてください……勤務先から推定できる給与額の確認と、子どもや孫の預金額が異常に多い場合に、亡くなった人からお金が流れていないか。
この後も回りくどく、まるで世間話のように質問を繰り返して、気がつくと言い逃れができないように外堀を埋めていきます。さて、ここからが、張り巡らせた伏線の回収です。
例えば、調査官から「ご主人はいつごろから体調が悪かったのですか?」との質問に、「半年前から意識が遠のいていました」と答えていたら、
「先ほど、亡くなる半年前から意識が遠のいていたとお聞きしましたが、亡くなる3カ月前に、故人名義の口座から引き出した500万円は誰が引き出し、何に使ったのですか?」
と追及を受けます。