「45歳・給与収入1,200万円のサラリーマン・副業収入300万円(事業所得200万円)」のシミュレーション
たとえば、東京在住の45歳・独身・給与収入(総支給額)が1,200万円のサラリーマンが、副業収入300万円を得て、所得(事業所得)が200万円というケースで試算してみましょう。
シンプルにするために、設立した会社からは給与は受け取らないものとします。
また、所得税については国税庁HPの速算表を使用し、住民税は税率10%とし、1,000円単位を四捨五入します)。
なお、社会保険料控除の額の計算については、協会けんぽの社会保険料(健康保険料+厚生年金保険料)の早見表(2023年3月分以降)を使用します。
◆副業について個人事業主として納税申告した場合
まず、副業について個人事業主として納税申告した場合です。
サラリーマンとして勤務先から受け取る給与収入1,200万円については、給与所得控除を195万円受けられるので、給与所得金額は1,005万円です。
これに副業の所得200万円を加えると1,205万円となります。
さらに、基礎控除48万円、社会保険料控除141万円を受けられるので、課税所得は1,016万円ということになります。
ここにかかる所得税は182万円、住民税は102万円で、合計284万円です。
◆副業を法人化して納税申告した場合
個人所得はサラリーマンとしての給与所得のみです。給与所得控除195万円を受けられるので、給与所得の額は1,005万円となります。
ここから基礎控除額48万円、社会保険料控除額141万円を差し引くと、課税所得は816万円です。
これにかかる所得税は124万円、住民税は82万円なので、税金の額は総額206万円です。
次に、法人所得の200万円については、課税所得400万円以下の法人実効税率21%として計算すると、法人税額は42万円です。
したがって、所得税と法人税の合計は248万円となり、税金の額は、副業を法人化しない場合と比べて36万円安くなります。
同じ状態が10年続けば、税負担を総額360万円も抑えることができる計算になります。
また、上述したように、法人の場合、必要経費として計上できる費目が増えるので、それを利用すれば、さらに税負担を抑えることができます。
さらに、上記の例は独身ですが、たとえば、配偶者がいる場合は、給与を支払うことにより会社の損金に算入でき、かつ、個人としても所得を分散できるので、さらに税負担を抑えられる可能性があります。
◆補足|会社にプールしたお金の「出口」は?
会社の所得は税金を支払ったあと会社の「内部留保」としてプールされていくことになります。これは、最終的に「退職金」として受け取る方法が考えられます。すなわち、個人が退職金を受け取った場合、退職所得として「退職所得控除」を受けられ、しかも、「2分の1課税」の対象となるので、税負担が大きく抑えられることになるのです。
ただし、この場合、退職金の損金算入限度額という問題が生じます。上述した「45歳・副業所得300万円」のシミュレーションでは、設立した会社から報酬は一切受け取らないという設定でした。しかし、ずっとそのままだと退職金を会社の損金に算入できません。
退職金を損金算入できるようにするためには、サラリーマンの定年後は、会社からある程度の報酬を得るようにすることが考えられます。
まとめ
以上はあくまでも税負担に着目したものにすぎません。
法人化する場合、初年度は設立のための費用がかかります。また、売上が上がらない年度も、法人住民税は必ず支払わなければなりません。
法人化した場合の税制メリットに加え、その他の費用等も加味した厳密なシミュレーションについては、税理士等の専門家に確認することをおすすめします。
今後、事業をある程度長く続けるつもりであり、売上が上がっていくことが見込めるのであれば、副業を法人化する余地が十分にあるといえます。
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