マンションが「スラム化」する背景とは?
現在、約600万戸あるマンションストック戸数のうち、100万戸超は築30年以上と言われています。この古くなってきた建物を放置していると、いずれ「スラム化」します。
スラム化すると、タイルの一部剥落、ベランダや廊下の手摺の落下、共用施設の破損・汚損、放置自転車の増加、管理費と修繕積立金の滞納等が起こり得ます。
この背景には、管理組合の財務状況、居住者間のコミュニティ形成が大きく関係し、管理組合にとって十数年に一度の大イベントと言える大規模修繕や小修繕、日常における建物・設備のメンテナンスが実施されないことが起因しています。
スラム化の特徴は、「高経年・高齢化で二つの老いが進行」「区分所有者の大半が居住せず、空室や賃貸化」「繁華街や都市部に立地し事務所や店舗が多い」「ワンルーム等の投資傾向が強い」等が挙げられます。
「負のスパイラル」は避けたいが・・・
一般的には、高経年のマンションほど、スラム化しやすいと言われていますが、築20年にも満たない建物でもスラム化の影は迫っています。郵便受けからチラシが溢れている、臭い・汚い・暗い、空き家、区分所有者の連絡先が不明等はまさにスラム化の始まりと言っても過言ではなく、下図のような負のスパイラルに陥ります。
管理や修繕をすべき時期に行わないと、陳腐化で資産価値も下がります。所有している限り、管理費や修繕積立金、固定資産税等の維持費はかかり、負の財産では相続側も困りものです。
また、避けて通れない「建替え」においても問題の先送りの傾向が強くなります。こうなる前に、長期修繕計画や修繕積立金を見直し、居住者間のコミュニティ形成、建物の劣化状況を把握しましょう。
[図表] スラム化への「負のスパイラル」