今回は、マンションの建替えから考える「まちづくり」の視点について見ていきます。※本連載では、マンション管理士である日下部理絵氏の共著、『マンションの建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!』(学芸出版社)の中から一部を抜粋し、マンション建替えの基礎知識を解説します。

新築・中古に限らずマンションの立地は「駅近」が有利

近年の新築マンションを見ると、駅近の物件が増えています。共働きが増える現代においては、職住接近が望まれ、例え住環境として暮らしやすい場所でも、駅から徒歩10分を超えると、新築・中古に限らず、価格への影響や売買しにくい傾向があります。

 

そのため、建替えにおいても、従前建物が駅近の方が有利と言えます。つまり、保留分(戸数を増やし、余った住戸)があったとしても、事業協力者(デベロッパー等)が売り出す販売価格に与える影響等から、売れにくく事業性が低いと判断されると、建替え事業が難しくなる可能性があります。

不動産の資産価値にも影響する「コミュニティ」の創造

例えば、駅から離れていても戸建住宅として人気があるエリアがありますが、このような場合、敷地の一部を分譲地(住宅地)として売却し、事業費に充当する方法があります。

 

ただし、敷地の一部を売却するということは、従前建物よりも規模が縮小する可能性があります。しかし、マンションの建替えにおいて、従前の区分所有者が建替え後も全員所有するとは限らないので、事前のヒアリング等の意向調査で建替えを機に権利を売却したいと希望する区分所有者がいるかどうか、把握しましょう。

 

実際には敷地の一部の売却なので、共同事業ではありませんが、例えば、マンションの建替えと分譲地(住宅地)に建つ戸建住宅とで、一つの「まちづくり」と捉え、計画推進することは、新しい付加価値やコミュニティを生み出すことにもつながるでしょう。

 

近年「コミュニティ」の創造は、不動産の資産価値にも影響すると言われています。「まちづくり」という視点から、一緒に計画を進めていけるような事業協力者を選択すると良いでしょう。

 

【図版】敷地の一部売却

 

本連載は、2015年7月25日刊行の書籍『マンションの建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。なお、本書をテキストとして最新の内容等をわかりやすく解説する団体「一般社団法人マンション建替支援機構」が2016年10月3日に設立されました。今後、マンション建替えについて基礎知識を学びたい方、自身の大切な住まい(資産)について興味関心が高い方、必見の講座(認定制度等)の運営を予定しておりますので、どうぞご期待ください。

マンション建替えがわかる本  円滑化法改正でこう変わる!

マンション建替えがわかる本 円滑化法改正でこう変わる!

日下部 理絵

学芸出版社

旧耐震基準・高経年マンションが続々と建替えに直面するこれからの10年、「改正マンション建替え円滑化法」で何がどう変わるのか? マンション住民・管理組合、管理会社、不動産・建築関係者のための、マンション建替えの基礎…

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