高齢者にとっても不便な「老朽化した」マンション
今、多くのマンションが、〝建物の老朽化〟と〝居住者の高齢化〟という「二つの老い」に直面しています。
築30年以上のマンションは、平成23年末に100万戸を超え、さらに平成32年度末には200万戸を超えると推測されています。老朽化ストックが増加する中、スラム化を防ぐため、適切な維持管理や建替え等に対応することが重要です。
そもそもマンションを購入するタイミングは、新婚時や子供が生まれた時等、人生において比較的限られており、例えば、築40年のマンションで新築時に購入された方が多い場合、60~70代の方が多く住まわれていることが推測できます。
このマンションでエレベーターがなく、段差も多いとしたら、高齢者にとって日々の買い物等が不便というだけでなく、外に出る機会を減らし、健康にも悪影響を及ぼすでしょう。また現在のように「バリアフリー」という考え方もなかったため、スロープがある建物も少ないのが現状です。
スラム化を防ぐための「コミュニティ作り」
この積み重ねは、外部との接触が減り、近年問題になっている「孤立死」にもつながりかねません。
建物の老朽化に対応するためには、区分所有者間のコミュニティや合意形成、また、金銭的な負担が必要ですが、居住者の高齢化でこれら負担に応じることが困難になり、スラム化につながっているケースもあります。
マンションには、様々なライフスタイルや価値観を持つ居住者がご縁があり一つ屋根の下に住んでいます。これからの超高齢化社会に向けて、高齢者にとっても住みやすくコミュニティが生まれやすい環境を作ることが、建替えのみならず、老朽化に対応するコツと言えるでしょう。
【二つの老い】
【そうなる前に!】