(※写真はイメージです/PIXTA)

デマ情報の拡散や情報操作など、ロシアによる「情報戦」の報道が目立つなか、ウクライナはどのように戦っているのでしょうか。元陸将の渡部悦和氏と井上武氏、元海将補の佐々木孝博氏が、ウクライナが実践し、成果をあげている“新次元の戦い方”について解説します。※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。

デジタル大国・ウクライナが実践している“情報戦”

ウクライナがロシアに対して「情報優越」を獲得している要因

渡部 これまでロシアの情報戦(とくに偽情報およびナラティブを織り交ぜた認知戦)を見てきました。

※ナラティブ:英語の「narrative」から来ている言葉で、直訳すると「物語」「語り口」「話術」などを意味し、物語をより広く捉えた言葉として使われることが多い。

 

これに対してウクライナの対応は適切だったと思います。逆に情報空間の戦いでは優勢を獲得しているのではないかとみられます。その要因について議論していきます。

 

佐々木 その最大の要因は、大統領から一市民に至るまで、情報(インテリジェンス)に対するリテラシーが高く、戦場の事実を伝える情報発信が継続できていることに尽きると思います。

 

典型的な事例が、ゼレンスキー大統領自身の情報発信であったと思います。侵攻当初、ロシア側は下院議長名で「ゼレンスキー大統領は政権を放棄し国外に逃亡した」との偽情報を流しました。

 

ゼレンスキー大統領は即座に、自身のスマートフォンを使い、自撮り画像を撮影しながら「私はここキーウにいる。我々は武器を置かず、祖国を守る」と情報発信しました。その結果、ウクライナ国民はもちろん、国際社会は何が事実であり、どちらの情報に信憑性があるのかを認識できたわけです。

 

以後、ゼレンスキー大統領のみならず、元ボクシング世界チャンピオンのヴィタリ・クリチコ現・キーウ市長はじめ、自治体の首長や一般市民も含め、多くの人たちが刻一刻と判明する戦場の様子をSNSにより情報発信しました。

 

2014年のクリミア併合時に通信施設が攻撃されたことにより現場の情報が全然摑めなかったのとはまったく違います。今回は戦争の状況がウクライナ国内はもちろん、国際社会にもよく伝わるという状況であったということです。

 

次ページゼレンスキー大統領が自国にもたらした「多大な成果」

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    ※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。

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