SDGsが企業にもたらす3つのメリット
今や多くの企業がSDGsへの取り組みを推進している。取り組みのアプローチは様々であるが、この流れは非常に良い傾向にあると感じる。また、社会からの要請は今後加速することはあっても減退することはない。課題は、コロナ禍の企業経営からコロナ終息後の企業経営へ移行するにあたり、企業を取り巻く環境が変化する中でブレずにSDGsへの取り組みを継続できるか、さらに進化させられるか、である。
市場の動きが活発になってくると目先の繁忙に目を奪われ、長期目線での取り組みが疎かになることはよくあることだ。重要だが緊急ではないことに経営資源を配分できるかが、企業の未来を左右することをしっかり理解しなければいけない。
そこで、実際にSDGsへの取り組みが企業にどのようなメリットをもたらすか、それは今後の社会と企業経営にとって有益なものであるかを、事例を交えてみていく。
本稿では、社会と企業経営にとって有益なケースを3つ紹介する。
ケース1:社会課題を解決する新たな事業機会の創造
ケース2:社内向けのブランディング活動で社員のエンゲージメント向上
ケース3:社外向けのブランディング活動で採用強化
ケース1:社会課題を解決する新たな事業機会の創造
A社は社会課題解決と顧客課題解決がリンクする新たな製品やサービスのアイデアをチームごとに募集するビジネス創出と、それを評価し表彰するSDGsアワードを掛け合わせた取り組みを行っている。チームで検討したSDGsビジネスアイデアを事業企画にまとめてアワードにエントリーする。これが、実際に全社員がSDGsについてアクションを起こす仕組みとなっている。
ビジネスアイデアを創出し企画にまとめるために、自社を取り巻く社会課題とはどのようなものか、顧客はどのような社会課題を認識しアクションを起こそうとしているかをヒアリングして回るというアクションが生まれる。またその課題に対して、自社の技術を生かして何ができるのかを考えるというアクションが生まれる。自社だけでは提供できないソリューションはどこと組めばよいかを調査するというアクションが生まれる。こうしたアクションを通してSDGs活動が自分事となっていく。
社内のSDGsアワードへ提出されたビジネスアイデアのうち、上位の提案に関しては実際に商品化や事業化に向けて動き出すことになる。
A社の取り組みから学べることは、実際にアクションを生み出すために仕組み化するということである。年に1回のイベントをヤマ場として、そこに向けてチームが協力して全員でアクションを起こす。このように、楽しみながら取り組める仕組みを構築していただきたい。