ケース2:社内向けのブランディング活動で社員のエンゲージメント向上
B社は自社のSDGsの取り組みがいかに社会の役に立っているか、ステークホルダーから感謝されているかを見える化し、社員のモチベーションの向上とエンゲージメントの向上に取り組んでいる。
毎月発刊する「SDGs通信」にて個人のSDGsへの取り組み内容を紹介している。またそれに対してステークホルダーから寄せられた感謝の言葉を掲載し、今、目の前で行っている活動が社会の役に立っているということを広く認知できる内容となっている。さらに、社会課題を解決する製品の紹介と開発秘話などを社内向けに動画配信している。これにより社会性と経済性の両立とはどういうものかを身近な事例をもって理解することができている。この理解が進むことで自信をもって製品を提案することにつながり、売上も順調に伸びている。
外部認証へチャレンジすることにも積極的である。女性活躍に関する認証制度や自治体が進めている認証制度などをうまく活用することで、社外から評価されているということが社員の自負心につながっている。
こうした様々な取り組みの結果として離職率は低い水準を維持している。
B社の取り組みから学べることは、社員への積極的な情報開示がモチベーションとエンゲージメントを高めるということである。社員が興味を持つような演出を施した情報の共有を実施いただきたい。
ケース3:社外向けのブランディング活動で採用強化
C社は様々なチャネルを活用して外部への情報発信を行い、SDGsネイティブといわれる若者の採用を強化している。
SDGsは、今や学校教育はもちろんのこと学習塾のカリキュラムにも登場するなど、学生にとって非常に身近な存在となっている。そうしたSDGsネイティブが社会人となる際の就職先の選択基準として、企業のSDGsへの取り組みが重視されるということは、容易に想像がつく。
そこでC社は、自社がSDGs活動にしっかりと取り組んでいるということを積極的に情報発信することで、多くの若者に選ばれる会社になることを目指している。様々なチャネルで情報を発信しているが、まずはホームページのリニューアルである。わかりやすく写真や事例・コラムを多く活用したSDGsサイトやブログで、SDGs活動を頻度高く情報発信する、採用に特化したサイトも制作している。ホームページがきっかけとなって自治体から共同での取り組みの要請があり、それをまたホームページで発信するという循環が生まれる。その他では、出版物のインタビューや雑誌等への寄稿など、メディアを通した社外PRにもつながっている。
こうした積極的な外部への情報発信が功を奏し、直近2年間では新卒採用ができていなかったが、今年は10名以上を採用するまで状況が一変した。加えて最終面接に参加した学生全員が同社のSDGsへの取り組みに関心を示し、自身のSDGsへの考えをしっかり述べることができていたという。今後は、このようなSDGsネイティブの新入社員が全社の活動をさらに促進する原動力となることを期待している。
C社の取り組みから学べることは、情報発信によるインパクトの大きさである。SDGsウォッシュではなく、本質的にSDGsへ取り組めていることが前提となるが、実施していることを様々なチャネルを通して情報発信することのメリットは想像以上に大きい。様々なチャネルを活用した情報発信を積極的に検討いただきたい。