(※写真はイメージです/PIXTA)

老後生活で気がかりな点は、生活資金をどのように賄うのかと、もう一つ、もし、介護状態になったらどうしようかということです。ただでさえ老後資金には限りがあるうえに、介護状態になると、お金が余計にかかります。実は、一定の条件の下、自宅をバリアフリー化した場合に受け取れる助成金の制度があります。本記事ではその「高齢者住宅改修費用助成制度」について解説します。

対象となる人

対象となるのは、以下の要件をみたす人、あるいはその人と同居する親族です。

 

【対象となる人の要件(その人と同居する親族も含む)】

・65歳以上

・要介護認定、または要支援認定を受けている

・リフォームを行う住宅に居住している

・同じ住宅について助成金の支給を上限額まで受けていない

対象となる工事

対象となる工事は、本人が居住する住宅について行う以下の改修工事で、日常生活を維持するために必要最低限のものです。なお、住宅が持ち家か借家かは問いません。もちろん、借家の場合は改修工事に対する家主の承諾が必要です。

 

【対象となる工事】

1. 手すりの取付け

2. 段差の解消

3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料変更

4. 引き戸等への扉の取替え

5. 洋式便器等への便器の取替え

6. その他1~5に附帯して必要となる住宅改修

 

既存のものが体に合わなくなり使いづらくなった場合も対象となります。これに対し、経年劣化は対象外です。

 

注意が必要なのは、あくまでも、本人が介護を受ける前提として住宅自体を使いやすくするための「必要最小限」の改修工事に限られるということです。

 

大規模な改修は、新たな資産形成の側面が大きくなるので、対象となりません。

 

また、いわゆる設備の設置・改良も対象となりません(別途、介護保険の保険給付の対象となることはあります)。

 

なお、付言すると、住宅自体の改修なのか、設備の購入・改良に過ぎないのかという合理的な区別基準は、物理的・機能的にみて、その建物自体と一体となっているかということです。

 

たとえば、階段の手すりは、その家の階段と一体として取り付けられているので物理的に一体であり、かつ、それがなければ建物内の移動が著しく困難となるので機能的にも一体といえます。

 

また、住宅の引き戸は、住宅の出入口にあわせて取り付けられるので物理的に一体であり、かつ、それがなければ雨風や第三者の侵入を防げないので機能的にも一体といえます。

 

さらに、便器はトイレルームに付着させて取り付けられるので物理的に一体であり、それがなければ排泄が不可能となり居住できなくなるので機能的にも一体といえます。

 

これに対し、浴槽、給湯設備、流し・洗面台の取替えなどは、住宅自体ではなく、住宅の使い勝手を向上させる設備にすぎないので、対象外です。ただし、別途、介護保険の保険給付の対象となることがあります。また、自治体によってはそれらを対象とした助成金の制度を設けているところがあります。

 

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