(※写真はイメージです/PIXTA)

ゴールデンウィークも間近。コロナも落ち着き、未成年のお子さんがいる家庭では、久々に羽を伸ばせる機会を喜んでいるかもしれない。しかし、レジャー計画に盛り上がる家庭がある一方、毎日の家計のやりくりに限界を感じている家庭もある。なかでも母子家庭はその傾向が顕著だ。日々の生活、そして将来の資産形成について、どんな状況に置かれているのか。実情を見ていく。

母子家庭の生活費、中央値は「手取り13万円」程度

株式会社JTBのニュースリリースによると、2023年のゴールデンウィークに旅行に行く(行く、たぶん行くの合計)と答えた人は26.5%。コロナ禍中にあった2022年の17.1%と比較して、約10%の増加、コロナ前の2019年の26.3%に並ぶ割合となった(2023年ゴールデンウィーク(4月25日~5月5日)の旅行動向)。

 

JTBによると、年齢が若い人たちほど旅行への意欲は高く、男性の29歳以下の40.2%、30代の38.4%が「行く、たぶん行く」と回答、女性の29歳以下の37.3%、30代の28.3%が「行く、たぶん行く」と回答している。

 

楽しい計画に胸を膨らませるファミリーがいる一方、日々の生活に追われる低収入の世帯には、ほぼ無関係な話題かもしれない。統計的に見ても低収入の傾向が大きい母子世帯は、その筆頭だろう。

 

2020年の『国勢調査』によれば、全国のひとり親世帯は72万1,290世帯。そのうち「母子世帯」は64万6,809世帯だ。母子世帯となった理由で最も多いのが 「離別」で52万1,263世帯。

 

母子世帯の家計の厳しさは、厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』の調査結果で鮮明となっている。

 

2020年、母子世帯(平均世帯人員、3.18人)の平均年収は、自身の収入だけで272万円、勤務先からの収入(就労収入)は236万円。また就労収入の中央値は200万円。

 

単純計算すると、月16.6万円、手取りで13万円程度が生活のベースだ。これが、母子世帯のちょうど真ん中の数値となっている。

 

さらに、4人に1人は就労収入が年115万円程度。月換算9.5万円、手取りにするとたった8万円だ。居住形態はそれぞれ異なるため一概にはいえないものの、それでも、この金額で母と子が生きていくのは大変だ。

養育費をもらわない理由…「相手とかかわりたくない」

では、別れた配偶者からの「養育費」はどうなっているのか。

 

前出の世帯調査によると、母子世帯のうち「養育費の取り決めを行っている」のは47.0%、「養育費の取り決めをしていない」が51.0%。

 

なんと、養育費の取り決めを行っていないケースが半数を超えている。「取り決めが行われていない=元配偶者からの援助がない」と断言はできないだろうが、それでも大多数のケースで「金銭的な援助はない」と考えられるのではないか。

 

なぜ半数以上もが取り決めをしていないのだろう。調査によると、最も多い50.8%が「相手と関わりたくない」を理由に挙げている。続いて「相手に支払う意思がないと思った」が40.5%。

 

【養育費の取り決めをしていない理由】

 

1位「相手と関わりたくない」50.8%

2位「相手に支払う意思がないと思った」40.5%

3位「相手に支払う能力がないと思った」33.8%

 

「取り決めの交渉がわずらわしい」19.4%、「相手から身体的・精神的暴力を受けた」15.7%、「取り決めの交渉をしたがまとまらなかった」14.6%

 

出所:厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』より

※複数回答

養育費を取り決めるも「3割は支払いが滞る」

養育費の受給状況だが、「現在も受けている」が28.1%と、3世帯に1世帯以下となっている。「養育費を受けたことがある」が14.2%ということから、「養育費の取り決めは行ったものの、3割は約束が果たされていない」という現状がみえてくる。つまり、養育費のない母子世帯が7割近くだということがわかる。

 

養育費を受けている場合、その養育費は平均5万0,485円。子どもの数別では、子ども1人の場合は4万0,468円、子ども2人の場合は5万7,954円、子ども3人の場合は8万7,300円。月々の収入を中央値で考えると、母1人、子2人の母子家庭の場合、養育費ゼロだと前出の通り月13万円が生活費。夫が約束を果たしていれば、約19万円が月々の生活費ということだ。

 

養育費を払ってもらえないことについて、何らかの対処法はないのだろうか?

 

「法的手段に出る」というのもひとつの選択肢だが、そのためにはコストを覚悟しなければならない。日々の生活がカツカツなのに、そんな行動を起こすのは困難だろう。そもそも論として、相手にに支払い能力がない可能性もあり、その場合は骨折り損になってしまう。

 

離婚の際の財産分与、あるいは慰謝料などがあればまだましなのだが、母子世帯の預貯金額を見ていくと、最多は「50万円未満」の39.8%。これは日々の生活の足しにできる金額ではない。

 

【母子世帯の預貯金額】

 

50万円未満:39.8%

50万~100万円未満:9.6%

100万~200万円未満:11.5%

200万~300万円世帯:5.8%

300万~400万円世帯:5.0%


出所:厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』より

 

もらえるはずの養育費をもらえず、手にできない母子世帯。

 

児童手当などのプラスアルファはあったとしても、月13万円の生活費がベースだと考えれば、とてもではないが生活にゆとりなど見出せまい。去年からの急激なインフレで、正直旅行どころではないだろう。

 

SNS等にも、ひとり親世帯からの「限界」を訴える声が上がっているが、休暇中の家族の思い出作りはさておき、ひとり親家庭の生活基盤を補強する、何らかの手立てが必要だといえる。

 

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