(※写真はイメージです/PIXTA)

佐藤良久/松村茉里/竹内宏明/森田努/川端ゆかり/高田江身子/杉森真哉/黒川玲子/中村剛/山田隆之氏の共著『そうだったのか! 相続のトリセツ』より一部を抜粋・再編集した本連載。ここでは、「空き家を相続したら?」「放置空き家を生み出さないためには?」についてみていきます。

「遺言書さえ残っていれば……」

遺言書で実家を相続する人を決めておけば、原則として遺言書通りにその人が実家を相続します。相続した人が、その後に実家を売却をすることも自由ですし、売却まで遺言書で指示してしまうことも可能です。

 

このように、遺言書が残されていれば、実家が放置空き家として問題化する恐れは少ないでしょう。

 

ところが、遺言書が残されていないと話は変わってきます。遺言書が残されていない場合、遺産の分け方は、相続人全員参加による「遺産分割協議」によって決定しなければなりません。

 

相続人全員で、遺産の分け方について合意し、実印と印鑑証明書をつけなければならないのです。この遺産分割協議がスムーズにまとまる保証はありません。

 

「争族」に発展するケースのみならず、相続人の中に行方不明・海外在住・認知症・未成年などの事情が絡むと、非常に時間がかかることがあります。

 

そうこうしているうちに、当初の相続人にも亡くなる方があり、当事者が枝分かれでどんどん広がっていくケースもあります。こうして遺産分割協議が難航し、その間、空き家となった実家が処分できず、管理もあいまいな状態で老朽化が進んでいく、というのが本当によくあるパターンなのです。

 

私自身、日々の業務にあたるなかで、ご相談者様から事情を伺い「遺言書さえ残っていれば……」という話になることが度々あります。

空き家対策はお元気なうちに!

ご紹介した「家族信託」「任意後見」「遺言書の作成」は、いずれも本人(老親)の判断能力がしっかりしていることが大前提です。認知症の進行などで判断能力が低下してしまうと、これらの対策をとることはできません。選択の余地が多く残されているうちに、家族で実家の行く末についてぜひ、話し合ってみてください。

 

また、思い込みなどから不測の損害を被らないように、必ず専門家にも相談をしてみることがとても大切です。

 

 

佐藤 良久

GSRコンサルティング株式会社 代表取締役

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『そうだったのか! 相続のトリセツ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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