(※写真はイメージです/PIXTA)

開催まであと2年の大阪・関西万博の想定来場者総数は約2,820万人とされており、大きな経済効果が期待されています。そのようななか、万博はスポンサー企業だけでなく、地域の中小企業にとってもアピールの大チャンスだと、株式会社 YRK andの深井賢一氏はいいます。一見無関係に見える万博と中小企業との意外な関係性とは……? みていきましょう。

万博で見直す「大阪・関西らしさ」とは

2025年の大阪・関西万博。大阪・関西としては最大のチャンスにしたいところです。万博には期待と注目が集まります。しかし一方で、こんな悩みもお聞きします。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magagineコラム
[図表1]2025万博 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magagineコラム

 

大阪・関西万博と銘打っているが、大阪らしさ、関西らしさとはなんなのか中小企業にとっては、万博はあまり関係ない、という声です。もったいないことだと思います。

 

SDGsをテーマにした、大阪で開催される万博。そこに多くの外国人が集まり、日本国内でも注目されます。夢洲の万博会場で開催されるイベントと捉えるのではなく、国内企業にとって、特に大阪・関西の企業にとっては、自社や商品・サービスを、国内外にアピールする機会として捉えるべきだと考えています。

 

では、あらためて大阪らしさ・関西らしさとはなんでしょうか。

 

大阪・関西の「商人道」は万博テーマに通じる

筆者が取締役を務める株式会社YRK andは、明治29年創業で127年目になります。本社は、ほぼ創業の地の大阪市中央区瓦町にあり、船場と呼ばれる商業の町です。筆者自身入社以来、船場商人に伝わる教えを聞いてきました。

 

出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magagineコラム
[図表2]商人道 出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかるRe/BRANDING magagineコラム

 

「始末 算用 才覚」、「商売は牛のよだれのように」、「お金には旅をさせろ」など、含蓄のある、商売の教えです。 江戸時代には「商人道」という言葉も生まれています。これは損得よりも善悪を商売の基本にすることや、商人は目先の利益よりも家訓を大事にすることなどが説かれています。

 

柔道や剣道と同じ「道」、つまり守るべき原理・原則・ルールが、商売にもあるという考え方で、近江商人の「三方よし」は、まさに商人道だといえます。この商人道は、おそらく世界に類を見ない価値観であり、考え方だと思います。

 

国別長寿企業ランキングで、100年企業・200年企業ともに、ダントツで日本が世界1位なのも、この価値観によるところが大きいと考えています。

 

創業455年で、近江が創業の地でもある西川株式会社の西川八一行社長は、「伝統とは、革新を繰り返した結果、振り返ったときに繋がっているものである」と言葉にされています。また創業306年で大阪が創業地の、株式会社大丸松坂屋百貨店の経営理念は、「先義後利」です。

 

長寿企業が伝える2つの言葉には、重要な意味があります。それは「革新性」と「社会性」です。これが長寿の秘訣であり、大阪・関西万博のテーマに通じるものだと考えています。

 

つまり、大阪や関西が育んできた商人道は2025年の大阪・関西万国博覧会のテーマにつながるものであり、中小企業を含めた関西の企業が実践してきたものは、サステナブル経営そのものだといえるのです。

 

関西らしさは、SDGsを商売で達成することです。新しく取り組むことも大事ですが、永年商売で培ってきたものに、価値の磨きをかけて、自信をもって国内外に発信するべきだと思います。

 

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