「岸田首相、金融庁、東証」に外国人の熱い視線
“投資の神様”の日本に対するリスペクト
これらの日本リスペクトの高まりは、すでに株式市場では織り込み済みである。投資の神様と尊敬されているウォーレン・バフェット氏は2020年5大商社に投資し、持ち分5%の筆頭株主になったが、今年さらに買い増し7.4%保有となった。過去70年間日本を素通りしてきたバフェット氏が日本株のウェイトを米国以外で最大にした。
今週来日中のバフェット氏は、「今後私は日本のすべての主要企業を観察する」と日本株に関心を示した。そればかりか「投資家というよりもビジネスパートナーとしてやっていきたい」と岡藤伊藤忠会長に語ったという。日本のビジネスモデルと企業そのものに対する最大限の敬意である。
株式市場は日本復活を織り込み済み
世間に日本悲観論、日本卑下論が蔓延しているが、あらゆる事象の最先行指標である株式市場では10年前にそれらはすでに織り込み済みなのだ。
日本株が最悪であったのは、バフェット氏が注目するよりもはるか前の震災直後民主党政権下の2012年末であり、以降日本株式は米国に次いで世界最高のパフォーマンス、2009年リーマンショック以降の株価上昇率も、2020年コロナショック直前の2019年末以降の株価上昇率も、主要国では米国に次ぎ2番手のパフォーマンスになっている。
バックミラーを見ているメディア、学者・有識者の観測とは裏腹に、株式市場は極めて迅速かつ正確に日本の大復活を織り込んできているのである。
ハゲタカの主張「株価が企業評価の絶対的尺度」に東証と金融庁が同調
「日本が資本主義になる」というコラムがFT電子版に掲載された(3月31日)。日本企業が株主価値の最大化に軸足をシフトさせ、株価上昇の期待が高まっている、という趣旨である。
「日本企業は、(円高デフレという)困難ななかで、収益性を高めるという難しいことを成し遂げた。しかし、その利益を株主に還元するという簡単なことに手こずっている。日本企業の多くは、現金の山を抱えたまま、賃上げや自社株買いをほとんど行ってこなかった」が、それが劇的に変わるかもしれないというのである。
まさしく、日本企業は儲けをため込み過ぎ、過剰貯蓄による資本効率の悪さが日本株安の原因となってきた。米国株のPBRが4倍前後へと上昇してきたのに対し、日本企業は1倍前後と世界最低で低迷している。アクティビストは日本の株価が割安なのは、経営者が株主の期待に応えていないからだと批判し、数々のTOB(企業買占め)を仕掛けてきた。
実際、東証上場企業の自己資本比率はほぼ50%と、欧米の平均(30%前後)に比べて5割方高い。この過大な自己資本を自社株買いで株主還元すれば、自己資本利益率(ROE)が急上昇し株価が上がる。それだけで株主価値は大きく高まる。
アクティビスト(通称ハゲタカ)、エリオット・マネジメントの圧力を受けた大日本印刷やシチズン時計が大規模な自社株買いを発表し、株価は3割以上高騰、PBR(株価/株主資本)は0.6倍前後からから0.9倍強へと大きく上昇した。次の自社株買い発表企業はどこかと世界の投資家は色めきたっている。
このアクティビストの「株価を尺度とした企業経営」に東証と金融庁が同調した。東証は資本コストや株価を意識した経営を上場企業に求め、PBRが1倍以下の企業に対して、是正策を要求した。また鈴木金融大臣は、金融庁が株価評価の低い企業に対し、改善プランを求める方針であることを表明した(4月6日)。
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