平均点を取った人の「偏差値」は本当なら「0」!?偏差値の“本当の意味”と簡単な計算方法【数学のプロが徹底解説】

平均点を取った人の「偏差値」は本当なら「0」!?偏差値の“本当の意味”と簡単な計算方法【数学のプロが徹底解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「ビジネス数学」を活用できている人はどれくらいいるのでしょうか。本連載では、株式会社数学アカデミーの代表取締役で、企業を対象にした数学リテラシー向上研修やデータ分析コンサルティング事業を行う鈴木伸介氏の著書『仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく』から「仕事で使える数学」について、一部抜粋してお届けします。

偏差値をわかりやすくしている2つの「味付け」とは

これですでに「すごい」度合いは計算できているのですが、ここからさらに2つの味付けをしていきます。まず、先ほどの★の式、

 

(「自分の点数」-「全体の平均点」)/「標準偏差」

 

に10を掛けます。これは単純に、動きが小さいと判別がしにくいので、はっきりわかるようにわざわざ10を掛けた、という操作になります。つまり、これで分布が広がるわけです。

 

次に、いま計算した、

 

{(「自分の点数」-「全体の平均点」)/「標準偏差」}×10

 

に50を加えます。

 

この50がなければ、自分の点数が平均点と同じ人は「0」になり、自分の点数が平均を下回ればマイナス、平均を上回ればプラスになります。

 

それでもよいのですが、「平均点を取った人がちょうど50になる」ほうが感覚的にわかりやすいため、便宜上50を足しているわけです。

 

こうすると、偏差値50ならちょうど平均点と同じ、偏差値が50を上回ると平均以上、50を下回ると平均以下、ということになります。

 

というわけで、これで偏差値の式が完成です。

 

{(「自分の点数」-「全体の平均点」)/「標準偏差」}×10+50

 

以上が偏差値の意味と計算の仕方です。

 

ちなみに、偏差値は状況によっては100を超えたり、マイナスになったりすることもあります。

 

偏差値の本来の意味からいうと、「今回のテストで偏差値が60だった」というのは正しいのですが、「偏差値が60の大学」という表現は、実際は適切ではないわけです(たとえば「受験生全体の中で合格確率が80%となる偏差値」という表現なら正しいです)。

 

ですので、たとえば模試を受ける生徒の層が変われば、試験問題も自分の点数もまったく同じであったとしても、その試験における偏差値は変わってきます。

 

どこか「偏差値=学力」みたいな風潮がありますが、実は偏差値というのはあってないような幻みたいなものなのです。参考程度にはいいかもしれませんが、偏差値の本来の成り立ちを考えれば、偏差値偏重主義みたいなものはやや疑わざるをえません。もちろん物差しとして手っ取り早くはあるのですが。

 

このように、世の中では当たり前のように使われている数字であっても、ちゃんと考えてみるとよくわからない、というのは結構あったりします。つまり、数学リテラシーが問われるわけです。

 

 

鈴木 伸介

株式会社数学アカデミー 代表取締役

 

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

鈴木 伸介

小学館

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