「幾何分布」を使って初めて成功するまでの確率を知る
AIやビッグデータ活用がより一般的になる中、統計学を学ぶことの重要性は年々高まってきています。その波は学校教育にも押し寄せてきており、2022年4月に高校生になった世代からは、学校での統計学の授業が実質必須化されています。
今後一般のビジネスでも統計学の知識が必要になってくる場面は、間違いなく増えていくでしょう。
■統計学を使うポイント
そもそも統計学とは、ある程度まとまった数からなる集合の傾向や特徴を分析したり、抽出した一部のデータから元の全体のデータを推測したりするための学問のことをいいます。
「統計学」と聞くとすごく難しいように聞こえるかもしれません。確かに、その背景には指数や積分などの複雑な数学が潜んでいます。
ただ、それらを知らなくても、統計学を仕事に活用することは十分に可能です。
統計学を仕事で使う際のポイントは次の3つです。
1.どのようなケースで統計学が活用できるのかを知っておくこと
2.いくつかある統計学のツールのうちどれを使うのかの判断ができること
3.統計学のツールの実際の使い方を知っておくこと
ここからは、実際のビジネスシーンを題材にして、どのような場面でどのような統計学のツールが使えるのか、またその具体的な使い方を紹介していきたいと思います。
営業職の方は、飛び込み営業をした経験はあるでしょうか?
私自身、会社員時代にしばらく飛び込み営業をしていた時期がありました。成功の確率は低いと頭ではわかっているものの、人間ですから立て続けに断られるのは、あまり気持ちがいいものではありません。そんな飛び込み営業にまつわる悲しいお話です。
営業職であるTさんは、毎日新規のアポが1件取れるまでずっと飛び込み営業をすることを日課にしています。経験上、Tさんが1回の訪問でアポを取れる確率は10%です。さて、このTさんが10件回るまでに、アポを取って無事会社に戻れる確率は何%でしょう?
感覚的には、「100%」と答えたいですよね。10回に1回はアポが取れるのですから、10件回れば必ずどこかで1件はアポが取れそうな気がします。
さて、本当にそうでしょうか?