(※写真はイメージです/PIXTA)

「ビジネス数学」を活用できている人はどれくらいいるのでしょうか。本連載では、株式会社数学アカデミーの代表取締役で、企業を対象にした数学リテラシー向上研修やデータ分析コンサルティング事業を行なう鈴木伸介氏の著書『仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく』から「仕事で使える数学」について、一部抜粋してお届けします。

「割合」を知らないと損をする?

新型コロナ禍以降、私たちの馴染みの商品が次々と値上げされました。その品目数は1万にも2万にも上るといわれています。値上げが続けば家計は圧迫され、買い控えが進むことも予想されます。

 

すると今度は困るのは企業側です。「何とかウチの商品を買ってほしい」と様々な販促キャペーンを打つことになるかもしれません。

 

たとえばある量販店が、【期間限定! 消費税還元全品10%OFFセール】というキャンペーンを打ち出してきたとしましょう。私たち消費者からすると、10%の消費税がまるまる安くなるのでお得です。

 

せっかくのチャンスということで、前から買おうと考えていた物も含めて、ちょうど税抜1万円分(本体価格)の買い物をしたとします。消費税が10%で、その10%引きなので、普通の感覚では代金は本体価格のまま1万円だと思いますね。

 

ところが合計金額を見ると、9,900円でした。

 

何かの間違いかな? と思って店員さんに確かめてみますが、やっぱり支払額は9,900円のまま変わらず、です。

 

「100円得した!」と思って、いい気分で買い物を終えました。

 

さて、これはどこか間違っているのでしょうか?

 

■何に対する割合か?

直感的には「10%増えたものが10%減ったのに、どうして元に戻らないの?」と感じるかもしれません。でも、実は少し考えれば、これが正しい金額であることがわかります。

 

%とは「割合」です。そして割合を考える時は、常に「何に対する割合か」を意識しておくことが重要です。

 

消費税の10%とは当然、元の価格(本体価格)に対する10%のことをいっています。本体価格は1万円で、その10%とは、1万円に0.1を掛ければOKです。すると、

 

1万円×10%(=0.1)=1,000円

 

と計算できます。つまり税込価格は1万1,000円というわけです。

 

一方、10%引きの対象となるものは、税込価格である1万1,000円のほうです。「何に対する割合か」の基準となる額が前の計算とは違ってきます。

 

実際に税込価格1万1,000円の10%分がいくらかを計算してみると、

 

1万1,000円×10%(=0.1)=1,100円

 

になります。ですので、10%引き後の価格は、

 

1万1,000円-1,100円=9,900円

 

となります。つまり、支払額が9,900円というのは正しかったわけです。

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仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

鈴木 伸介

小学館

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