「割合」を知らないと損をする?
新型コロナ禍以降、私たちの馴染みの商品が次々と値上げされました。その品目数は1万にも2万にも上るといわれています。値上げが続けば家計は圧迫され、買い控えが進むことも予想されます。
すると今度は困るのは企業側です。「何とかウチの商品を買ってほしい」と様々な販促キャペーンを打つことになるかもしれません。
たとえばある量販店が、【期間限定! 消費税還元全品10%OFFセール】というキャンペーンを打ち出してきたとしましょう。私たち消費者からすると、10%の消費税がまるまる安くなるのでお得です。
せっかくのチャンスということで、前から買おうと考えていた物も含めて、ちょうど税抜1万円分(本体価格)の買い物をしたとします。消費税が10%で、その10%引きなので、普通の感覚では代金は本体価格のまま1万円だと思いますね。
ところが合計金額を見ると、9,900円でした。
何かの間違いかな? と思って店員さんに確かめてみますが、やっぱり支払額は9,900円のまま変わらず、です。
「100円得した!」と思って、いい気分で買い物を終えました。
さて、これはどこか間違っているのでしょうか?
■何に対する割合か?
直感的には「10%増えたものが10%減ったのに、どうして元に戻らないの?」と感じるかもしれません。でも、実は少し考えれば、これが正しい金額であることがわかります。
%とは「割合」です。そして割合を考える時は、常に「何に対する割合か」を意識しておくことが重要です。
消費税の10%とは当然、元の価格(本体価格)に対する10%のことをいっています。本体価格は1万円で、その10%とは、1万円に0.1を掛ければOKです。すると、
1万円×10%(=0.1)=1,000円
と計算できます。つまり税込価格は1万1,000円というわけです。
一方、10%引きの対象となるものは、税込価格である1万1,000円のほうです。「何に対する割合か」の基準となる額が前の計算とは違ってきます。
実際に税込価格1万1,000円の10%分がいくらかを計算してみると、
1万1,000円×10%(=0.1)=1,100円
になります。ですので、10%引き後の価格は、
1万1,000円-1,100円=9,900円
となります。つまり、支払額が9,900円というのは正しかったわけです。