中学校で習う「掛け算の順序の性質」が理解のカギ
■10%増と10%減を一度に計算する
今は10%増と10%減の計算を分けてしましたが、一度に計算することもできます。10%増とは×1.1倍、10%減とは×0.9倍なので、一度に、
1万円×1.1×0.9
と計算することができます。中学生時代に習ったと思いますが、掛け算は計算する順序を変えても、結果が変わらないという性質があります。そこで「1.1×0.9」の部分だけを先に計算してみます。この部分は、
1.1×0.9=0.99
となります。ということは、「10%増の10%減」を計算すると、結局0.99倍と同じになります。元の価格の「1%減」と同じことになるわけです。
感覚的には不思議な感じがしますが、数学的にはこれが正しい結果です。
■10%減らしてから10%増やしたら?
ちなみに今は「10%増やしてから10%減らす」ことを考えましたが、逆に「10%減らしてから10%増やす」とどうなるんだろう? と疑問に思うかもしれません。最終的な結果は増えるんでしょうか? 減るんでしょうか? これも実際計算してみましょう。
1万円×0.9(10%減)×1.1(10%増)
実はこれは先ほどと同じように0.9×1.1=0.99なので、結局1万円の0.99倍になって、まったく同じ結果になります。
つまり、「10%増やしてから10%減らす」場合も、「10%減らしてから10%増やす」場合も、結果は変わりません。
鈴木 伸介
株式会社数学アカデミー 代表取締役