(※写真はイメージです/PIXTA)

「ビジネス数学」を活用できている人はどれくらいいるのでしょうか。本連載では、株式会社数学アカデミーの代表取締役で、企業を対象にした数学リテラシー向上研修やデータ分析コンサルティング事業を行なう鈴木伸介氏の著書『仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく』から「仕事で使える数学」について、一部抜粋してお届けします。

中学校で習う「掛け算の順序の性質」が理解のカギ

■10%増と10%減を一度に計算する

今は10%増と10%減の計算を分けてしましたが、一度に計算することもできます。10%増とは×1.1倍、10%減とは×0.9倍なので、一度に、

 

1万円×1.1×0.9

 

と計算することができます。中学生時代に習ったと思いますが、掛け算は計算する順序を変えても、結果が変わらないという性質があります。そこで「1.1×0.9」の部分だけを先に計算してみます。この部分は、

 

1.1×0.9=0.99

 

となります。ということは、「10%増の10%減」を計算すると、結局0.99倍と同じになります。元の価格の「1%減」と同じことになるわけです。

 

感覚的には不思議な感じがしますが、数学的にはこれが正しい結果です。

 

■10%減らしてから10%増やしたら?

ちなみに今は「10%増やしてから10%減らす」ことを考えましたが、逆に「10%減らしてから10%増やす」とどうなるんだろう? と疑問に思うかもしれません。最終的な結果は増えるんでしょうか? 減るんでしょうか? これも実際計算してみましょう。

 

1万円×0.9(10%減)×1.1(10%増)

 

実はこれは先ほどと同じように0.9×1.1=0.99なので、結局1万円の0.99倍になって、まったく同じ結果になります。

 

つまり、「10%増やしてから10%減らす」場合も、「10%減らしてから10%増やす」場合も、結果は変わりません。

 

 

鈴木 伸介

株式会社数学アカデミー 代表取締役

 

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

仕事に役立つ数学:AI時代に差がつく

鈴木 伸介

小学館

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