(※画像はイメージです/PIXTA)

連鎖販売取引(マルチ商法)国内最大手の「アムウェイ」に対し消費者庁が2022年10月から下していた「6ヵ月間取引停止」の行政処分が今日から解除されます。本記事では、アムウェイのみならず古くからトラブルがあとを絶たない「連鎖販売取引」のしくみとそれ自体が抱える根本的な問題について、関連法令にも触れながら解説します。

連鎖販売取引のトラブルが絶えない根源的理由

では、連鎖販売取引においては、なぜ、昔からこうもトラブルが後を絶たないのでしょうか。

 

それは、連鎖販売取引のしくみ自体が、強引な勧誘を誘発しがちなものだからす。

 

すなわち、連鎖販売取引において利益を上げていくには、以下の2つが必要不可欠です。

 

・勧誘したメンバーが脱退するのを防ぐ

・勧誘したメンバーに、さらに新しいメンバーを勧誘させる

 

しかし、最初に1名の人が2名を勧誘し、さらにその2名がそれぞれ2名ずつ勧誘する…ということを繰り返していくと、26回でトータルの人数が「1億3,421万7,727名」に達し、日本の人口を超えます。(【図表1】参照)

 

【図表1】「1人あたり2人」の勧誘を26回繰り返した場合のトータル人数

 

これは、高校の数学の授業で扱われる「等比数列の和」という公式で算出することができます(【図表2】)。

 

【図表2】等比数列の和の公式による計算

 

このように、連鎖販売取引はそもそもパイが限られており、ビジネスモデルとして無理があるといわざるをえないのです。そんななかで、メンバー各自が2名ずつ勧誘するだけでも大変なことです。

 

そのうえ、勧誘したメンバーが脱退しないようにしつつ、そのメンバーにさらに新しいメンバーを勧誘させなければ、儲かりません。

 

その結果として、以下のようなことが行われやすいという特色があります。

 

・自分が勧誘したメンバーをつなぎとめるための啓発活動

・新メンバー獲得のための強引な勧誘行為

 

たとえば、会員からカリスマ的な人気や人望を得ている人がおり、自己啓発本を出したりします。また、勧誘のなかで往々にして「夢」「成功」などが語られます。

 

強引な勧誘行為がみられることについては、現に社会問題化しており、いうまでもありません。

 

だからこそ、連鎖販売取引は、特定商取引法によって厳格な規制がしかれているのです。

 

連鎖販売取引をつかさどる事業者には、法令順守を強調するだけでなく、連鎖販売取引のしくみ自体に上述のような構造的な問題があることを認識したうえで、メンバーに対する正しい意味での「啓発活動」をさらに強化することが求められます(いくら強化しても足りませんが…)。

 

また、連鎖販売取引にかかわる人、あるいはこれから始めるかどうか検討している人も、連鎖販売取引に厳しい法規制が行われている根本的な理由を十分に認識したうえで、慎重に判断し、行動することが求められます。

 

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