(※画像はイメージです/PIXTA)

少子高齢化、低賃金。こうした問題を解決するべく、国や大企業がフォーカスを充てるのは、若手と呼ばれる人々、結婚適齢期に当てはまる人たちだ。一方、就職難を経て、これまで懸命に生き抜いてきた40~50代の氷河期世代は、蔑ろに…。実態を詳しく見ていこう。

懸命に生き抜いてきた中堅社員は「見て見ぬふり」

「少子高齢化」、「低賃金」……。どちらも近年、我が国でよく聞くようになったワードだ。

 

「若年層の給与水準を上げることで、少子化も改善される!」…国はそう考え、それにこたえるかたちで大企業が中心となり行っている「賃上げ」は、主に新卒者~結婚適齢期の人々が対象となっている。

 

今回の賃上げブームは、「若く優秀な人材を高い賃金で囲い込もう」という意図がみえるが、その一方で中堅社員の存在については、見て見ぬふり感が否めない。

 

「超買い手市場」だった就職氷河期を経てきた40~50代。有効求人倍率は1.0を下回り、「大学は卒業したが職はなし……」というケースも。そうでなくとも希望の職では就職ができず、フリーターや派遣などの非正規雇用で社会人をスタートした人も多く存在した。

非正規40代、同年代正社員との給与差は「1ヵ月で12万円以上」

2000年代中頃になると、雇用環境も改善。だが、既卒で非正社員として働いてきた人の転職は不利で、望んでもなかなか正社員になることができない……そのまま時は流れ、40代、50代となってしまった、という人はたくさんいる。

 

氷河期世代間での格差も大きく、たとえば同じ大卒男性の平均給与を比べてみると、正社員・40代後半で月39.1万円、年収に換算すると642.8万円。一方、非正規では月26.5万円、年収で365.5万円。その給与差は1ヵ月に12.6万円、1年で277.3万円にもなる。

 

【非正規と正社員の給与差】

20~24歳:21.3万円・282.6万円/ 21.8万円・340.1万円

25~29歳:24.6万円・357.0万円/ 25.7万円・428.5万円

30~34歳:24.9万円・358.6万円/ 29.6万円・498.8万円

35~39歳:25.9万円・359.9万円/ 33.3万円・560.3万円

40~44歳:26.1万円・364.1万円/ 36.5万円・606.0万円

45~49歳:26.5万円・365.5万円/ 39.1万円・642.8万円

50~54歳:34.3万円・463.4万円/ 42.3万円・692.7万円

55~59歳:30.7万円・418.8万円/ 42.9万円・694.9万円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より

※数値は大卒・男性・従業員10以上。左より非正規の所定内月給与額・年収/正社員の所定内給与額・年収

 

40~44歳の非正社員の平均年収は「364.1万円」、20代・25~29歳正社員の平均年収は「428.5万円」。自身の子どもだとしてもおかしくない年齢の人たちの年収と比べても、「65万円」近く低い年収となっているのが、いまの40代前半・非正社員の給与額で、その現実は非常に厳しい。

 

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