「犯罪件数」は大幅増加だが…「東京でお金を落としても、半分以上戻ってくる。」景気の先読みに役立つ“身近なデータ”

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2023年4月11日)

「犯罪件数」は大幅増加だが…「東京でお金を落としても、半分以上戻ってくる。」景気の先読みに役立つ“身近なデータ”
(※画像はイメージです/PIXTA)

「今年の漢字」や、世界的なスポーツ大会における日本代表チームの活躍、大河ドラマや連続ドラマの内容…多くの国民が注目する「身近なデータ」が、実は景気や株価と深い関係にあることをご存じでしょうか? 今回は、景気の予告信号灯として「犯罪統計」や「遺失物取扱状況」を見ていきましょう。※本記事は、宅森昭吉氏(景気探検家・エコノミスト) の『note』を転載したものです。

刑法犯総数の認知件数

~23年1~2月は「+22.9%」の大幅増加

 

景気の動きを敏感に反映する、身近な社会データは、明暗入り混じっている状況で、景気の基調判断が「足踏み状態」にあると判断されていることと整合的だと思います。

 

犯罪統計などでは芳しくない動きがみられます。刑法犯総数の認知件数は、21年も56.8万件と前年比▲7.5%減少でしたが、22年は前年比+5.9%の増加に転じました。組織的な強盗のニュースが多く報じられた感がある23年1~2月は+22.9%の大幅増加になりました。

 

 

また、自殺者数の前年同月比は21年7月~22年4月まで10ヵ月連続して減少でしたが、22年5月~23年2月では10ヵ月連続増加になりました。これも暗いデ―タです。

金融機関の店舗強盗件数

~22年に増加したが、23年は「2月までで1件」にとどまる

 

暗い中にも明るい兆しが見えるデータもあります。金融機関の店舗強盗件数は22年では17件になり、15年以来7年ぶりの前年比増加となりました。しかし、23年1~2月は1件で、前年同期の4件を下回っています。23年に入ってからは明るさが出てきました。

 

遺失届現金に対する拾得届現金の比率

~10年連続で改善。22年は57.5%に

 

警視庁「遺失物取扱状況」によると、22年の遺失届現金は、69.5億円。19年の84.4兆円をピークとして、新型コロナウイルスの影響で、20年61.1億円、21年60.3億円と減少しましたが、22年に戻りました。22年の拾得届現金は、40.0億円になりました。20年33.1億円、21年33.8億円と落ち込んだが、22年はコロナ前の19年38.8億円を上回りました。なお、このデータは年に一度の公表で、22年分は23年3月に発表されました。

 

遺失届現金に対する拾得届現金の比率は12年までは30%台でしたが、長期間の景気拡張局面があったこともあり、13年41.4%から22年の57.5%まで、10年連続で改善しました。「東京でお金を落としても、半分以上戻ってくる」という明るいデータもあります。

 

 

 

※本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。 さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。 23年4月からフリー。景気探検家として活動。 現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

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