過去のインフレ局面で“買われた業界”と“売られた業界”
では、インフレ環境下での株式投資はどうあるべきなのでしょうか? 重要なのは、インフレへの耐性は企業によって差があるという点です。
株価の全体を表現する株価指数(インデックス)のリターンは、物価の上昇に負けてしまうかもしれません。しかし、物価の上昇を企業の利益に転換できるような企業であれば、株価はしっかりと上昇するはずです。
石油危機に直面した1970年代の米国の株価を確認してみると、コスト増を価格に転嫁しやすいセクターが安定的に成長しました。具体的には、「通信」や「公益」、「エネルギー」といったセクターのリスク調整後リターンが優れていました。
一方、コスト増を価格転嫁しにくい「ヘルスケアセクター」などは投資効率が悪い結果となりました。
インフレ環境はパッシブ運用では対応しにくい状況であり、そのような環境下では、銘柄を「選別」するアクティブ運用の姿勢が求められるわけです。
過去にパフォーマンスが良かった銘柄や投資手法が、現代でも同じような成績を残せるとは限りませんが、企業を「選別」する目線に変わりはありません。
優秀な企業経営者は、ピンチをチャンスに変えていくことができる人です。物価の上昇を企業業績のフォローの風に変えられるような経営能力をもった企業への株式投資を行うことで、株価指数を大きく上回り、インフレ率の上昇にも負けない投資成果を残すことができるはずです。
※当資料の閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください。ページに見当たらない場合は関連記事『株式銘柄の選び方…「インフレ環境でも強い企業」どうやって見極める?【投資のプロが解説】』をご覧ください。
平山 賢一
東京海上アセットマネジメント株式会社 参与
チーフストラテジスト
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