(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、「自然災害の危険地域」に住む人々が「他の地域に移住すべきワケ」についてみていきます。

「負のスパイラル」を抜け、停滞した経済は成長軌道に

(4)日本は人口が減り続け、東京や一部の都市の中心部以外はスカスカになりその悪影響が出る

 

自分たちの住む地域が低密度、すなわちスカスカになるということは、ある程度の人口を前提として成り立つ商業施設や学校、医療機関などが減ったりなくなったりして、生活を続ける上での利便性や安全性が損なわれることになる。

 

また路線バスなどの公共交通機関も減便や廃止となり、それによりさらに住民が退去するという負のスパイラルに陥る。

 

その結果行政や物流などのコストが上がり、それはやがては税金や物価になって自分たちにはね返って来る。だから逆に空き家が埋まり、周辺人口が旧に復すれば、いったん撤退した路線バスや商業施設などが復活し、生活の利便性がもとに戻ることになる。

 

(5)人や企業の大移動により経済活動が活気を取り戻す

 

これは平成になって停滞した日本経済を再び成長軌道に乗せるための施策でもある。今回の投資は、危険地帯に住む人の土地や住宅を国が買い取ることに、また空き家の持ち主からそれを買い取ることに大半が使われる。

 

危険地域の人が自宅を売った金は、新しい家を買い、引越しをし、家電や家財道具を買わなければならないから貯蓄として残らずに大半が消費にまわる。なかにはこれを機にスマートシティ対応に向かう人もいるだろうから新々三種の神器のマーケットが活況を呈す。引越しをすれば親戚や友人を家に招く。お祝いやお返しをするだろうから多くの業界が潤う。

 

平成になってからの公共投資が、消費に向かわず貯蓄にまわることが多かったのは、土地収用をしても土地所有者のみが儲け大部分が貯蓄にまわっていたからだ。乗数効果も期待でき、現在のニューディール政策でもある。

 

(6)このために消費税を上げる

 

これをしなくても人口減少のもとで先進国型の福祉を続けるためにはいずれ消費税のアップは避けられない。もっと状況が悪くなってから、追いかけられるようにアップするのではなく、危険が少ない効率の良い国土をめざし、さらに経済の復活を戦略的に行うために、それに先んじて今行うことに意味がある。

 

人口減少下でも経済を成長させ、1人当たりGDPを上昇させるにはこの方法しかない。

国による直轄事業とする

国が方針を決めあとは地方にやらせる、という今までに多かった方法はとるべきでない。理由は、今の日本では県レベルでも市町村レベルでも規模が大小さまざまで、その推進能力に大きな差があり国民の間に不公平感をもたらすことになるからだ。

 

またどうしても地域間競争や我田引水によって、国の作る最適プランが実現せず、違った形の骨抜きのものになってしまう可能性が高いからでもある。

 

 

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児井 正臣

1968年3月 慶応義塾大学商学部を卒業(ゼミは交通経済学)。

1968年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。

1991年12月 一般旅行業務取扱主任者主任補の資格を取得。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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