(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、「自然災害の危険地域」に住む人々が「他の地域に移住すべきワケ」についてみていきます。

コンパクトシティ化に求められる「移住」

筆者が全国3259の市区町村を公共交通機関でまわって実感したことは、日本は広い、そして使われていない土地や空き家が、郊外はもちろん都市の中心部にも多かったことだ。

 

そういうところでは市街地再開発のためにコンパクトシティ化を目指すところが多い。

 

それも含めて、最近では人口減への対応を先取りしようとする「スマートに縮小する(Smart Shrink)」ということが言われ始めているがまさにその通りである。筆者はもっと積極的にそれを「戦略的凝縮(Strategic Condense)」と言いたい。

 

単なる縮小ではなく、国力を再び高めるために資源やエネルギーをいったん集めて凝縮することによってポテンシャルを高める、すなわち将来に向けての力を蓄えるのである。

 

ただしいずれにせよ、人を移住させなければならないのだが、実際にそれがなかなか進まない。

 

行政などがこれを進めようとすると、先祖が苦労して手に入れた家を捨てるのは忍びない、新しいところに行っても新たな人間関係を構築するのが億劫だ、自分はこのまま静かに生きてここで死にたい、など移住対象者のそれは嫌だという声が必ず出て来る。

 

そしてそのような声は、弱者切り捨てだなどといったマスコミが好んで飛びつく話題に結びつきやすい。

 

移住を促進するために、より快適だとか便利なところに行けるのだといっても、人はなかなか動かない。

 

筆者は「今それを必要とするやむを得ない理由」がなければ人は行動に移さないと思っている。

 

「やむを得ない理由」の最大のものは仕事であり転勤の場合は仕方なく動く。ほかに子供の学校などもそうかも知れない。

 

社会全体のためとかコンパクトシティ化のためだと言っても、そう簡単に動くものではない。

 

では防災はどうだろうか。近年の自然災害の多発によって人々の考え方が変わりつつあるのかも知れない。だからと言って強制的にこれをしようとしても反発を招くだけかも知れない。

 

まず納得してもらうというきちんとした手順が必要であることは言うまでもない。

次ページ「放置すればどんな問題が発生するのか」6つの説明

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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