(※写真はイメージです/PIXTA)

児井正臣氏の著書『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』より一部を抜粋・再編集し、「首都圏近郊の空き家問題」「空き家を持ち続けるリスク」についてみていきます。

首都圏近郊の空き家問題の実態

空き家の所有者という立場から、空き家を持ち続けるリスクというものを考えてみた。

 

筆者の話であるが、筆者の子・孫が将来苦しむことにならないとも限らない。今の自宅は土地45坪、建坪40坪ほどの2階建、築後35年、地震に強いようにとRC構造で建てたものだが、現在固定資産税を土地・建物を合わせて年間20万円ちかく払っている。

 

筆者も家内も死んだ後、そこに住まない子や孫たちが売ろうとしても売れなかった場合、住まずにこの家を持ち続けることになる。その場合少なくとも固定資産税は払い続けなければならず、家の清掃や立木の手入れなどで年数回は訪れて保守したりする費用などを考えれば年間20~30万円を払わなければならないかも知れない。

 

10年続けば200~300万円になる。相続しても相続税が払えないとか、上記のように持っているだけでコストがかかることを考えると、筆者の子孫たちも国または自治体に寄贈したくなるかも知れない。

 

しかし今、国も自治体も土地や家の寄贈は、それの用途が決まっていないときには受け取ってくれないだろうから、苦労するだろう。最近不動産が負動産といわれているとよく聞く。

 

この問題を放置しておくことは日本経済の崩壊につながりかねないとも思う。

 

2014年5月日本創成会議が2040年には日本では896の市区町村が消滅可能性都市になるという発表をして話題になった(『地方消滅』増田寛也編著、中公新書)。

 

今の趨勢(すうせい)から見ると間違いない試算だと思う。問題はそこに行く過程である。

 

残す自治体と消滅させる自治体を事前に選り分けるという作業を行い、消滅させる自治体の無人化への工程を明確にすることと、消滅後をどういう形にするかのデザインを描くことが必要である。

 

それを行わないと、消滅した集落の跡は荒れ放題になり、あらたな環境問題や自然災害を起こす源にならないとも限らない。

次ページ「空き家問題」1軒ずつ解決して行くには数が多すぎる

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『自然災害と大移住――前代未聞の防災プラン』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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