(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年から続くウクライナ侵攻においては、20世紀までは考えられない巧妙な「情報戦」が繰り広げられています。情報戦とは、インターネットを介して行われる情報操作や情報の窃取、社会システムへの攻撃のことです。今回は、元陸将の渡部悦和氏と井上武氏、元海将補の佐々木孝博氏が、ロシア軍による「情報戦」のターゲットとそれぞれの狙い、2014年のクリミア併合時との違いについて解説します。※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。

クリミア併合時と異なる「背景」に注視

ターゲット3.米国や欧州

第3のターゲットは米国や欧州を中心とした西側諸国です。その目的は西側諸国の結束を弱め、一体となった制裁やウクライナ支援を阻止する目的や戦争責任の回避などのために行われます。2014年は一体となった制裁まではいかなかったこともあり、限定的な成果は得たと考えられますが、今回はほぼ失敗しています。

 

ターゲット4.国連・国際社会

第4は国連や西側諸国以外の国際社会をターゲットとしています。2014年では一定の国々は国連の非難決議に賛同せず反対または棄権にまわり一定の成果を得ています。今回の国連非難決議では圧倒的に(7割強)は非難に賛同し、ロシアの情報戦は失敗しました(補足:10月12日にも国連は、ロシアがウクライナ東部・南部四州を併合したことに対する非難決議を採択したが、143ヶ国が賛成票を投じた)。

 

クリミア併合(2014年)と露宇戦争(2022年)の「違い」

井上 佐々木さんの分析のとおりだと思いますが、2014年のクリミア併合時と今回の露宇戦争では、情報戦の背景が大きく異なる面があります。

 

ひとつ目は、電撃作戦の成功と情報戦成功の関連性です。情報戦が機能しているあいだに、相手に対応の余地を与えず、作戦目的を達成することが重要となります。

 

ふたつ目は、国家や情報関係者だけでなく、個人までが、UAV等を利用し、戦場を画像でもってタイムリーに世界に伝えることができるようになってきました。これらの要因が、情報戦にあたえる影響は大きいと思います。

 

 

渡部 悦和

元陸上自衛隊 陸将

 

井上 武

元陸上自衛隊 陸将

 

佐々木 孝博

元海上自衛隊 海将補

 

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※本連載は、渡部悦和氏、井上武氏、佐々木孝博氏の共著『プーチンの「超限戦」その全貌と失敗の本質』(ワニ・プラス)より一部を抜粋・再編集したものです。

プーチンの超限戦 その全貌と失敗の本質

プーチンの超限戦 その全貌と失敗の本質

渡部 悦和 井上 武 佐々木 孝博

ワニ・プラス

2022年6月、ワニブックス【PLUS】新書として発刊され好評を博した『ロシア・ウクライナ戦争と日本の防衛』の続編が、読み応えある単行本として登場。3人の自衛隊元幹部が、プーチンとロシアが行っている戦争を「超限戦」と捉え…

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