(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍や異常気象、紛争などさまざまな影響により、あらゆる商品やサービスの値上がりが止まりません。“家計の悪者”のようにテレビや新聞等では報道され、「いかに安く暮らすか」がさかんに議論されています。そこで本記事では、企業がやむを得ず値上げを決断することになっても客の心を離さない経営術について、株式会社 YRK and取締役の深井賢一氏が解説します。

生活者が教えてくれる「値上げの価値」

商品やサービスを通じて、社会問題を解決するソーシャルプロダクツの話をすると、「どこからはじめればいいのでしょうか?」とよく聞かれますが、この質問には生活者が答えてくれています。

 

2021年の11月に、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)が、生活者900人に調査した結果です。下のグラフは、「ソーシャルプロダクツがどのような活動をすれば値段が高くても購入するか」を聞いたものです。

 

1位「自分の関心が高い活動」、2位「深刻な社会的課題を解決する活動」。この2つは、なにからはじめるか難しい活動です。しかし3位「商品や事業を通した活動」、4位「その企業やブランドらしい活動」というのは、いまの事業や商品・サービスの延長線上にある活動のことで、価値があると感じるから値段が高くても買うと答えているのです。

 

そして、5位は「最小限の活動」です。言い換えれば、「できることから」はじめればいいと生活者は言っているのです。時間とコストをかけて活動を準備するのではなく、「ここからはじめました」という行動に価値を感じるのです。6位は「自分も参加可能な活動」。難しく考える必要はありません。

 

(出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)
[図表2]ソーシャルプロダクツがどのような社会貢献に取り組めば、値段が高くても購入したいと思うか (出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)

値上げを価値に転換するサステナブルブランディング

サステナブル経営、ESG経営が重要だといわれています。一方で、「サステナブルもESGもコストがかかるのに、そこに値上げが追い打ちをかけて自社の持続可能性さえ危ぶまれている」と、冗談っぽく言う経営者もいます。

 

しかしここまで見てきたように、サステナブルへの取り組みと値上げは一体のものなのです。なぜなら、社会問題解決への活動量が、コスト上昇につながっているからです

 

(出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)
[図表3]サステナブルブランディングの意義 (出所:YRK and 事業変革のヒントが見つかる Re/BRANDING magazineコラム)

 

だからこそ、自社の商品やサービスを購入することが社会問題解決への参加につながる、ということを実感ある価値として伝える必要があります。それがサステナブルブランディングです。その要素は、新しい商品や取り組みの開発のなかではなく、すでにある自社の事業や商品・サービスのなかにあるはずです。

 

 

深井 賢一

株式会社 YRK and

CMO/取締役 兼 TOKYO代表

 

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