公表された業績から、増額修正を予想していたら・・・
前回からからの続きです。さて、この株価の動きを、月次データを見ず、主に業績を見ていた人にはどう見えたのでしょうか。
四半期ごとの業績推移が[図表]にあります。2010年9月の月次が公表された時期にわかっているのは、第1四半期の業績だけです。
第1四半期の業績(表の下から4行目の2010-1Qの欄)は35.6%増収、14.1%営業増益でした。上期の会社計画は30.6%増収、7.0%営業増益でしたから、そのピッチは上回っていました。
つまり、この状況であれば、会社計画は増額修正されると考えてもおかしくはありません。ただし、実際は計画を上回っていたとは言うものの、その前の四半期(2009-4Q)には49.0%増収、48.9%営業増益だったのですから大幅な減速です。
[図表] トリドールの業績1
「チャートと勘」だけでは読めない株価の推移
株価は8月初旬の第1四半期決算発表以降、ほぼ横ばい圏で推移していましたが、先に述べた9月の月次が大幅に悪化したことで、月次発表と同時に株価は急落を開始しました。そして、第2四半期決算が発表された11 月1日の頃には10万円まで下がっています。
ところが、第2四半期決算も25.7%増収、13.5%営業増益と好調であり、しかも、上期の決算は期初予想の7.0%営業増益予想が、13.7%増益と増額修正の着地でした。
つまり、決算しか見ていない人は、なぜ株価が下がったのかもわからない状況だと思います。しかし、その3か月後に第3四半期決算が出て、初めてなぜ下がったのか、わかるようになります。
第3四半期決算で、25.0%増収、13.8%営業減益とここで初めて減益になります。肝心要の月次を無視しておいて、この株価と業績の関係を見て、多くの投資家はこのように株価には先見性があるのだから、ファンダメンタルなんか分析してもわからないので、チャートと勘で投資すると平気で言う人たちがいます。
しかし、それはここで説明するようなデータ分析を何も知らない人のたわごとにすぎません。