今回は、月次データの業績分析による株式投資の成功事例を紹介します。※本連載は、証券アナリスト・有賀泰夫氏の著書『やり方さえわかれば、初心者でも株式投資で確実に勝てる』(日本食糧新聞社)の中から一部を抜粋し、株式投資で勝つための「月次データ」の活用法をご紹介します。

プロが軽視しがちな局面にもチャンスあり

前回お話ししましたが、2011年6月の月次データがプラスに転換しましたので、6月の月次データがわかった7月初旬に「買い」に転じました。その時点から株価は上昇し始め、8月初旬に第1四半期決算が出て、25・3%増収36・0%営業増益であったことから、さらに株価は上昇しました。

 

ところで、トリドールの月次の復活局面に関して追加的なお話をしておきます。2011年6月の月次が急によくなったのですが、実はテレビ放映がきっかけだったのです。その数年前にはサイゼリヤ(7581)や王将フードサービス(9936)の月次が、テレビ放映によって急伸し、株価も急伸したことがありました。とくにプロはそのような水物は軽視しがちですので、逆に個人投資家は素直に乗ってうまくいくことが往々にしてあります。

 

 

今回、テレビ放映が行われることは、会社からのメールでわかりました。会社のホームページに行って、メールアドレスを登録しておきますと、会社から月次、業績、ニュースなどを知らせてもらえますので、興味のある会社にはぜひとも登録しておくといいでしょう。

 

トリドールは、その後も順調な月次が続いたのですが、全体相場が弱かったこともあって、株価は、いったん上がってからは一服していました。相場がそこまで弱くなければもっと上がったかもしれませんが、月次が順調でしたから、継続的に持っていてまったく問題ありませんでした。

 

その後、月次データにさらなる勢いが出てきたので、さらに強気の「買い」指示を出しました。それは【図表2】の2011年12月の月次データが公表された時点です。【図表1】の月次データのグラフで「買い」(2011年12月)と示した時点で、【図表2】の株価では、Cの部分のタイミングになります。

難しいことをしなくても株は儲かる!?

ところが、それから3週間ほど株価は上にも、下にもほとんど動きませんでした。月次はこのようにすごいとわかる数字が出ても、すぐには動かないことも多いのです。それは決して価値がないということではなく、それだけ他の人に先んじているわけですから、むしろ余裕を持って投資に挑めるという点でも、これほど貴重なデータはありません。

 

その後、1月末の決算発表前に日経新聞が、業績が好調であるという観測記事を書いたその日に、いきなり10%以上株価が上がりました。そして結局、1カ月ほどで株価は20%も上昇しました。まさに、月次さまさまです。何も難しいことをしなくても株は儲かるんです。株価が先を読むなんて大ウソだということがよくわかる話です。すべて、起こった現象の後追いをしているだけなのです。

 

ただし、株価が20%上がったからと言って、何もそこで利食う必要性は全然ありません。その後も月次をフォローしていって、順調に推移しているなら、多少の株価調整には目をつぶって持ち続けます。

 

まずは、そろそろまずいかなと思えば、心の準備をしておき、株価が行き過ぎたなと思えば一部売っておいたり、実際に悪い数字が出てからいよいよ最後の利食いをすればいいのです。

 

【図表1】

 

【図表2】

本連載は、2016年5月10日刊行の書籍『やり方さえわかれば、初心者でも株式投資で確実に勝てる』(日本食糧新聞社)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

やり方さえわかれば、 初心者でも株式投資で確実に勝てる

やり方さえわかれば、 初心者でも株式投資で確実に勝てる

有賀 泰夫

日本食糧新聞社

投資家の多くは、株式の本質を知らないで投資し、単なるギャンブルと化していますが、株式投資はギャンブルではありません。本書は、株式投資の入門書ではありませんが、株式投資のことを知らない方でも、どうすればいいかがわ…

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