(※画像はイメージです/PIXTA)

3月は多くの企業が決算期を迎える月ですが、いざ決算対策をするとなると、真に有益な方法はそれほど多くはないのが実情です。しかし、公的な税制優遇制度のなかには、既に活用条件を満たしていて、あとは制度を利用するだけだった、というケースも珍しくありません。本記事では、そういった可能性のある有益な制度のひとつ、「中小企業投資促進税制」について解説します。

中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制は、中小企業・個人事業主等が、「生産性向上」のため、所定の条件をみたす機械装置等(特定機械装置等)を購入した場合に、税制優遇措置を受けられる制度です。

 

機械装置等という字面からは形ある物体を思い浮かべますが、後述するように、無形固定資産である「ソフトウェア」も対象に含まれています。

 

税制優遇の内容の詳細は後述しますが、「特別償却」または「税額控除」のどちらかを選ぶことができます。

対象となる事業者の資格要件

対象となる事業者の資格要件は以下の通りです。

 

【資格要件】

・青色申告書を提出すること

・一定以下の「規模」の中小事業者であること

 

規模の要件は原則として下記の通りです。

 

【規模の要件】

・資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等

・従業員数1,000人以下の個人事業主

 

また、対象となる業種は以下の通りです。かなり幅広い業種を包摂しており、たいていは含まれるといえます。ただし、映画業以外の娯楽業、性風俗関連特殊営業は対象となりません。

 

【対象となる業種】

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

 

対象となる機械・設備等は幅広い

対象となる機械・設備等も、以下の通り、かなり範囲が広くなっています。

 

【対象となる機械・設備等】

1. 機械装置(1台160万円以上)

2. 工具、器具備品(1台120万円以上、複数なら1台30万円以上・合計120万円以上)

 イ. 測定工具及び検査工具

 ロ. 電子計算機

 ハ. デジタル複合機

 ニ. 試験機器・測定機器

3. ソフトウェア(一つのソフトウェア、または複数合計で70万円以上)

4. 貨物自動車(車両総重量3.5t以上)

5. 内航海運業の用に供される船舶(取得価格の75%)

 

もし、これらを期中に購入していた場合は、後述する手続きをすれば、中小企業投資促進税制を利用できるということです。

 

なお、政府が2022年12月に出した「2023年税制改正大綱」において、以下の2つの制限が加えられることになりました。

第一に、「機械装置」のうち、「コインランドリー業」に用いる機械装置については、その管理業務の大部分を他に委託する場合は対象から除外されることになりました。これは、いわゆる「コインランドリー節税」を封じたものです。

 

第二に、「5. 内航海運業の用に供される船舶」については、総トン数500トン以上の船舶は、環境負荷を低くする設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出たものに限られることになりました。これは、いわゆる「カーボンニュートラル」を考慮したものです。

 

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