(※画像はイメージです/PIXTA)

早いもので3月も後半となりました。1年のなかで、3月は最も多くの企業が「決算期」を迎える月です。利益が多く出ている会社の経営者の方は、日ごろ忙しく、ぎりぎりになって決算対策を考えることも多いと推察されます。しかし、焦って飛びつくと、会社に損を与えてしまうリスクがあります。そこで、本記事では、その決算対策が会社の利益を損なわないか、会社のためになるか判断するためのポイントを3つお伝えします。

◆その年度だけ突発的に発生した利益

たとえば、法人で所有していた不動産を売却して多額の売却益が発生したケースや、「コロナ特需」でマスクが大量に売れたケースが挙げられます。

 

突発的に発生した利益に対する決算対策として向いているのは、その年度限りの「単発」の決算対策です。

 

一例を挙げると、「少額減価償却資産の特例」です。これは、1つ25万円未満、総額300万円の資産を購入した場合に全額を直ちに損金に算入できるものです。必要なものの購入予定を多少早めて年度内に購入するのが効果的です。

 

船舶や航空機の「オペレーティングリース(JOL)」も有効です。数千万円~数億円出資すると、その60%~80%程度の額を一気に損金に算入できます。ただし、いったん出資したらリースが終わるまでお金を取り戻すことはいっさい認められません。また、リースが終わった段階でほぼ全額が返ってきて益金になるので「出口」を用意する必要があります。

 

◆例年コンスタントに発生する利益

たとえば、特定の取引先と密接な関係が維持されている場合など、継続的かつ安定的に売上が計上されるケースです。

 

この場合、向いているのは、毎期コンスタントに損金を計上する方法です。

 

代表的かつあらゆる中小企業にとって有益なのが「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」です。

 

これは、本来、連鎖倒産防止、すなわち取引先の倒産によって売掛債権等が焦げ付いて資金繰りが悪化して倒産することを防止するため、払い込んだ掛金の10倍を限度として借入ができる制度です。しかし、「節税」「決算対策」の方法としても有効なのです。

 

掛金の全額を1年分「前納」すれば全額が損金算入できるうえ、3年4ヵ月以上加入すればいつ解約しても全額が返ってきます。

 

しかも、払い込んだお金の一部を「借入」することもできます。銀行融資と違って審査がないので、急な資金需要に対応できます。先述した「資金繰り」の問題についてある程度カバーできるということです。

 

掛金は最大で月20万円までなので、「前納」を利用すれば最大240万円を損金に算入することができます。なお、掛金総額800万円までなので、掛金を最大の月額20万円(年240万円)に設定した場合、決算対策として活用できるのは3年4ヵ月までです。

 

いわゆる「法人保険」(法人向けの定期保険)にも有益なものがあります。ただし、決算対策という視点でみた場合、ごく一部の商品に限られます。なぜなら、2019年以降、保険料の損金算入割合が高いほど、あとで返ってくるお金(解約返戻金)の戻り率(返戻率)が低くなる制度がとられているからです。

 

法人保険で今なお有益と考えられるのは、「変額タイプ」です。保険料の一部が投資信託で運用され、運用実績に応じて解約返戻金の返戻率が変動し、「上振れ」する可能性があるからです。ただし、リスクとその対処法については十分に理解しておく必要があります。

 

このように、決算対策を行う場合は、投下したお金を回収できるか、資金繰りに支障をきたさないか、会社の利益の発生状況に即した方法であるか、直前期であればあるほど、慎重に検討することが大切です。

 

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