コレステロール値は高い方が「がんになりにくい」という"事実"。医者が教えてくれない、老化の新常識【医師が解説】

コレステロール値は高い方が「がんになりにくい」という"事実"。医者が教えてくれない、老化の新常識【医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

あなたはいったいどう生きて、どう死にたいですか? 人生100年時代、「死」と距離が生まれてしまった現代では、自分の死について考える機会がめっきりと減ってしまいました。ですが、死は誰にでも確実に訪れます。50万部超の大ベストセラー『80歳の壁』の著者、高齢者専門の精神科医である和田秀樹氏が、35年以上の高齢者診療で辿り着いた「極上の死に方」について、新刊『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)より解説します。

とくに男性は「女性と比べものにならないほど」老化が進む

血圧や血糖値に加えて、コレステロールも低いほうが良いというのが「常識」です。

 

確かに心筋梗塞や狭心症はコレステロール値が高いほど起きやすくなりますが、世界中で正常値よりも少し高めのほうが長生きするという疫学的なデータがいくつも出されています。

 

コレステロール値が高いほうが、免疫力が高く、がんになりにくいことがわかっています。コレステロールは、がん細胞のもとになる“できそこないの細胞”をやっつけてくれる「NK細胞」の重要な材料なのです。おそらくコレステロール値が高い人ほど免疫活性が良いのでしょう。

 

さらに、コレステロールは男性ホルモンや女性ホルモンをつくる材料になります。コレステロール値が高いほうが性ホルモンの分泌がいいので若々しさを保つことができるのです。

 

とくに男性は、男性ホルモンが不足すると、女性とくらべものにならないほど老化が進みます。性欲だけでなく意欲が衰え、筋肉量が減り、人づき合いが億劫になって、記憶力や判断力も衰えてしまうのです。

 

コレステロール値が低いとうつ病にかかりやすいという調査データもあります。コレステロールには、脳へセロトニンを運ぶ働きがあるため、血中で一定のコレステロール濃度が保たれていないと、セロトニンがうまく運ばれず、脳が機能しません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

実際に、多くの高齢のうつ病患者を診断してきて思うのは、コレステロール値が高い人のほうがうつからの回復が早く、低い人は回復が遅いということです。血圧、血糖値、コレステロール値は、現代医療では三大悪のような扱われ方をしていますが、果たしてそれでいいのか。

15年間、1200人に行った研究で明らかになったこと

ここで、1974~89年の15年間にわたってフィンランド保健局が、血圧、血糖値、コレステロール値などが高い40~45歳の男性1200人を対象に行った調査研究を紹介しておきましょう。

 

4カ月ごとの健康診断に基づいて数値が高い人には薬を処方し、塩分制限などの健康管理を厳しく行う「介入群」600人と、健康管理にまったく介入しない「放置群」600人に分けて追跡調査を行いました。その結果、がんによる死亡率だけでなく、心血管系の病気の罹患率や死亡率、それに自殺者数にいたるまで、「介入群」のほうが「放置群」より高かったのです。

 

こうしたデータを示すと、数値にこだわる大学病院の医師たちの一部は「でたらめだ」と反発しますが、批判をするなら、自分たちも長期にわたる追跡調査を行い、反証を示すべきです。残念ながら日本の医学部からは一つも反証は出ていません。

 

大切なのは、何が患者さんにとって有意義であるかを考え、それを治療に活かす努力をすることではないでしょうか。

 

そして、有意義な治療法はどういうものなのかを考えることは、他人である医者ではなく、まずは患者さん自身が、自分ごととして考えるべきことなのです。

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本連載は、和田秀樹氏の著書『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)から一部を抜粋し、再構成したものです。

どうせ死ぬんだから

どうせ死ぬんだから

和田 秀樹

SBクリエイティブ

50万部超の大ベストセラー『80歳の壁』の著者が35年以上の高齢者診療で辿り着いた死生観「どうせ死ぬんだから」。食生活や財産、医療との付き合い、死後のことまで、逝き方上手な高齢者から得た具体的な提案が満載。自分の死に…

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