【確定申告】無申告に「時効」はあるのか?「個人の無申告者」への税務調査件数・追徴税額も解説

【確定申告】無申告に「時効」はあるのか?「個人の無申告者」への税務調査件数・追徴税額も解説
(※写真はイメージです/PIXTA)

確定申告は義務であり、確定申告を怠った場合は、罪に問われる可能性があります。では「無申告」の場合、他の犯罪のように時効があるのでしょうか? 税務調査を専門とする税理士法人松本が、無申告の時効と、無申告者に対する税務署の対応状況について解説します。

「無申告」は罪に問われる可能性

確定申告の必要があるにも関わらず、確定申告を行っていないことを無申告といいます。確定申告の方法が分からなかったために無申告を続けてしまった場合であっても、無申告状態が税務署にバレれば、ペナルティを科せられることになります。確定申告は義務であり、確定申告を怠った場合は、罪に問われる可能性があります。

 

では、無申告の場合も他の犯罪のように時効があるのでしょうか。今回は、無申告の時効と無申告者に対する税務署の対応状況についてご説明します。

無申告に対するペナルティとは?

無申告者に対しては、次のようなペナルティが科せられます。

 

<自主的に期限後申告をした場合>

税務調査に入られる前に、自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税が課されます。無申告加算税は、本来納めるべき税額の5%です。つまり、100万円の納税の必要があった場合は、105万円の納税が必要になります。

 

ここで納税をした税金も経費になると考えている方もいらっしゃいますが、所得税や法人税は経費になりません。

 

<税務調査後に期限後申告をした場合>

税務調査時に指摘を受け、無申告がバレた場合は同じ期限後申告でも、課せられる無申告加算税の割合が異なります。

 

無申告が意図的ではないと判断された場合は、税額が50万円までの分に関しては本来納めるべき税額の15%、税額が50万円を超える部分に関しては本来納めるべき税額の20%の無申告加算税の納付が求められます。100万円の納税が必要だった場合は、117万5,000円を納めなければならなくなるのです。

 

また、意図的に申告しなかったと認定された場合は、無申告加算税ではなく、より税率が高い重加算税が課せられます。重加算税は、本来納めるべき税額の40%です。100万円の納税が必要だった場合は140万円の納税が必要になるのです。

無申告の時効は「5年間」だが…

実は、無申告にも時効があります。所得税や法人税の無申告の時効は、法定申告期限から5年です。

 

ただし、悪質性が高いと判断された場合は7年間分の未納付分の税金と重加算税を支払わなければなりません。 つまり、税務調査によって無申告が発覚した場合は、5年分または7年分の税金と加算税を支払わなければならないのです。年間100万円の納税義務があった場合、5年間の納税額の合計は500万円です。そして、5年分の無申告加算税は97万5,000円となり、合計で597万5,000円の納税が求められるのです。追徴課税は、原則として一括納付が求められます。この場合は、597万5,000円を一括で支払わなければならなくなるのです。

 

<無申告者に対する税務署の取り組み>

税務署では無申告者に対して積極的な調査を実施しています。なぜなら、日本では申告納税制度が取られており、多くの納税者は自発的に適正な納税を行っているため、無申告者が税金を納付しない状態が続けば、非常に不公平な状態を作り出してしまうからです。

 

<個人の無申告者を対象とした税務調査>

令和3事務年度(=令和3年7月から令和4年6月)においては、所得税の無申告者に対して3,828件もの税務調査が行われています。1件当たりの申告漏れ所得金額は2,923万円であり、1件当たりの追徴税額は過去最高の497万円となっています。申告漏れ所得金額の総額は1,119億円、追徴税額の総額は190億円にも上ります。

 

また、消費税の無申告者に対する税務調査は、令和3事務年度において5,257件実施されています。1件当たりの消費税の追徴税額は245万円、追徴税額の総額は129億円にも上っています。

 

※参照:国税庁「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf)

 

<法人の無申告者を対象とした税務調査>

国税庁は、令和3事務年度において、無申告の法人に対して総額173億円の追徴課税を行ったとしています。無申告は、申告納税制度の根幹を揺るがすことになるため、資料情報の更なる収集・活用を図り、積極的に調査を実施するとしています。

 

無申告の手口としては、事業による収入を代表者名義の個人口座に振り込ませることで取引を隠ぺいしていた例などが紹介されています。

 

※参照:国税庁「令和3事務年度 法人税等の調査実績の概要」(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/hojin_chosa/pdf/01.pdf)

無申告を続けてしまった場合は…

ご紹介したように、無申告者に対して税務署はさまざまなルートを使って情報を収集しています。これまで無申告を続けてきてしまった場合も、いずれ無申告状態が税務署にバレて税務調査を受ける可能性が高くなります。

 

前述したように、無申告であっても、税務調査が入る前に自主的に申告した場合は、追徴税額を低く抑えることができます。長年、無申告状態を続けてしまったケースほど、追徴税額は高くなり、税務調査後に期限後申告をした場合の追徴税額との差は大きくなります。無申告を続けてしまったら、早急に期限後申告をすることをおすすめします。

 

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。
国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。
税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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