「アベノミクス路線への回帰」が功を奏すか
経済政策においても岸田氏は安倍政権の大枠を踏襲している。当初の主張であるアベノミクス批判と見える分配重視の「新しい資本主義」の内容を換骨奪胎し、「成長と分配の好循環」というアベノミクス路線に回帰していった。端的にいえば、株価を軽視・無視していたスタンスから株価重視スタンスへの大転換を、なんのてらいもなく実行したのである。
安倍元首相は2013年ニューヨークで外国人投資家を前に「Buy my Abenomics」と宣言し日本株高を謳ったが、岸田首相も2022年5月、それを真似て「Invest in Kishida」とロンドンの投資家に日本株式への投資を呼びかけた。
内閣官房による新しい資本主義実現会議資料では、
「新しい資本主義においても、徹底して成長を追求していく。しかし、成長の果実が適切に分配され、それが次の成長への投資に回らなければ、さらなる成長は生まれない。分配はコストではなく、持続可能な成長への投資である。
我が国においては、成長の果実が、地方や取引先に適切に分配されていない、さらには、次なる研究開発や設備投資、そして従業員給料に十分に回されていないといった「目詰まり」が存在する。その「目詰まり」が次なる成長を阻害している。待っていても、トリクルダウンは起きない。積極的な政策関与によって、「目詰まり」を解消していくことが必要である。」
として、
2.スキルアップによる労働移動の円滑化、副業兼業の推進
3.貯蓄から投資への「資産所得倍増プラン」策定
等の具体策を提示した。これらはアベノミクスの第3の矢「規制緩和によって民間投資を喚起する成長戦略」とほぼ重なっている。
投資家増と自社株買いで「過剰貯蓄」是正へ
ここから始まる一連の変化が日本株式需給を変化させるだろう。まず個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」の改革(非課税限度額1,800万円への引き上げ、非課税保有期間の無期限化等)は、預金から株式への大きな資金の流れを作るだろう。
つみたてNISA口座における買い付け額は5割増ペースの伸びを続けており2022年は1.3円弱に上った。一般NISAにおける買い付け額3.9兆円を合算すると、個人の昨年の株式投資はすでに年間5.2兆円に達している。
日本の家計の金融資産(年金保険準備金を除く)の保有内訳は、利息が限りなくゼロに近い現預金に74%、配当率ほぼ2.5%の株式・投信に20%と非合理的であり、その是正が奔流になっていくだろう。数年のうちに家計の株式投資が年間10兆円を超え、一大投資主体になるかもしれない。
いまのところこの株式投資の過半は米国など海外株式が主体であるが、日本株の相対パフォーマンスが好転する2023年にはこの比率は改善されていくだろう。
また企業がもうけをため込み過ぎ、過剰貯蓄による資本効率の悪さが日本株安の原因となってきたが、東証による「PBR1倍割れ是正要請」により、余剰資金を自社株買いに振り向ける機運が高まっている。自社株買いは2021年度8兆円と過去最高になったが、2022年度は10兆円ベースに上るとみられている。
米国では自社株買いが最大の株式投資主体であるが、日本でもそうなる可能性は濃厚である。長らく続いた国内投資家不在の状態は、家計と企業部門の参入により、急速に改善されていくだろう。
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