(※写真はイメージです/PIXTA)

中小企業で後継者への事業承継(自社株式の承継)を行う場合、後継者の相続税・贈与税等の負担が重くなるおそれがあります。そこでぜひ活用したいのが「事業承継税制」の「納税猶予制度」です。事業承継の実務の専門家である中小企業診断士・CFPの平賀均氏が、著書『まだ間に合う! 最新 事業承継税制—特例承継計画と納税猶予の申請 』(ロギカ書房)より、「相続税・贈与税の納税猶予制度」の3つの活用事例を解説します。

3|先代経営者が生きているうちに後継者(2代目)が次の後継者(3代目)に贈与するパターン(猶予継続贈与)

先代経営者(1代目)が生きているうちに、後継者(2代目)が在任中に、1代目から贈与された株式を次の後継者(3代目)に株式を贈与することもできます。

 

その後継者が納税猶予を受けることにより、2代目の贈与税が免除されます。猶予継続贈与(税務上は、免除対象贈与)と呼ばれます。この場合の手続は、2代目への贈与と同様です。

 

事業継続期間(5年)内は、取消事由に該当するため、親族といえども株式を贈与することはできません(やむを得ない理由による場合を除く)。事業継続期間(5年)経過後に贈与を行うことになります。

 

1代目が死亡すると、3代目の贈与税は免除されますが、3代目はこの贈与を受けた株式について1代目からの相続により取得したものとみなされ、1代目の相続税の対象とされます。それについて3代目が納税猶予を選択するか相続税を支払うかは任意となります。

 

[図表3]納税猶予の活用パターン

 

ただし、贈与日が特例措置の期限後(2028年1月以降)になる場合は、事業承継税制自体は利用できるものの、「一般措置」による事業承継になりますので、贈与できる株式数や納税猶予割合等が制限されることになります。

 

[図表4]納税猶予の活用パターン

 

 

平賀 均

経済産業大臣認定中小企業診断士・ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)・上級相続診断士・事業承継士・知的財産管理技能士

 

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