土地の価額の評価方法には「4種類」ある
生徒:先日母が他界して、富山県にある実家が空き家になりましたので、売却しようと思います。土地の価額がいくらなのか調べてみたのですが、税理士先生から聞いた価額と不動産屋さんいう価格がぜんぜん違うのです。土地の価額はどうやって決めるのでしょうか?
先生:土地の価額の評価方法には、4種類あります。これは、土地を評価する目的が4つあるということなんですよ。「路線価」「固定資産税評価額」「公示価格」「実勢価格」の4つです。このうち路線価は、相続税申告のための価額です。公示価格と実勢価格は、土地を売買したいときに参考にする価格となっていますね。
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土地の評価の基準となるのは「路線価」
生徒:税理士先生からは、土地の評価は路線価だと聞きました。
先生:相続財産に土地があるとき、土地の価格を評価しないといけません。本来は、時価で評価するのですが、個人の土地の時価なんて、わからないですよね。そこで国税局が、毎年、土地の評価の基準となる路線価をWebサイトで公表しているんです。これが、相続税や贈与税の計算の基準となります。
注:記号の上部又は下部(路線の向きによっては右又は左)が「黒塗り」又は「斜線」で表示されている路線の地区区分は、次のとおりです。「黒塗り」の場合、その地区区分は「黒塗り」側の路線の道路沿いのみが該当します。
「斜線」の場合、その地区区分は「斜線」側の路線には該当しません。
「黒塗り」又は「斜線」ではない「白抜き」の場合、その地区区分はその路線全域に該当します。
生徒:路線価はどのように計算するのですか?
先生:路線価は、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの評価額を1,000円単位で表示したものです。実際に、土地の評価額を計算するときは、路線価に土地の面積をかけて計算します。正確には、地形による補正率もかけるんですけどね。
生徒:「路線価×面積」ですね?
生徒:そうですね。たとえば、路線価が30万円で、面積が100平方メートルだとすれば、「30万円×100平方メートル」で3,000万円という計算です。実際は形状による補正率もかけるから、3,000万円よりも高くなることもあるし、低くなることもありますけれどね。
生徒:「面積」というのは、どうやって調べるのですか?
先生:相続税申告するとき、土地の面積は、現地に行って面積を実際に測量しなければいけません。登記簿謄本に面積が書いてあるのですが、必ずしも正確だとはいえないので…。マンションなど巨大な建物の敷地なら、登記簿謄本の面積が正解だと考えてもいいかもしれませんが。
生徒:路線価は、田舎の山奥でも付けられているんでしょうか。道路のない山奥の土地の場合、評価額はどうなるのでしょう…?
先生:そのような路線価が定められていない土地の場合は、「倍率方式」と呼ばれる方法を使うことになっています。路線価図に「倍率地域」と書かれている場所ですね。そこでは、土地の「固定資産税評価額」に一定の倍率をかけて計算するんです。評価倍率も路線価と同じように国税庁のWebサイトで公表されていますよ。
「固定資産税評価額」は固定資産税課税明細書に記載
生徒:倍率方式では「固定資産税評価額」を使うんですね。固定資産税評価額は、どこで知ることができますか?
先生:固定資産税評価額というのは、毎年送られてくる「固定資産税納税通知書」の中にある、固定資産税課税明細書に「価格」として書いてありますよ。固定資産税や登録免許税を計算するときの基準となる価格ですね。ちなみに、固定資産税評価額は、実勢価格の70パーセント程度になるように決められています。
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「公示地価」は毎年国交省が発表、HPに掲載あり
生徒:なるほど…。「公示地価」や「実勢価格」というのはどういったものでしょう?
先生:「公示地価」は、毎年国土交通省が発表しているもので、土地を売買したい人が目安とするための価格ですよ。国土交通省のホームページで公表されています。ちなみに、公示地価と似たようなものに、「基準地価」という価格があるのですが、公表するのが都道府県だというだけで、ほとんど公示地価と同じようなものだと思えばいいでしょう。実勢価格というのは、実際に売買が行われた取引価格のこと。まさに「時価」といえるものだから、役に立つ参考データだといえますね。
生徒:なるほど。「公示価格」を使うと、土地がいくらで売れるか計算することができるんですね。どうやって計算するのでしょうか?
先生:国土交通省のホームページにある「標準地・基準地検索システム」を使います。調べたい土地の地名を入れると、その地域の公示地価と基準地価が一覧表示されます。これが、標準地の1平方メートルあたりの価格ですね。
生徒:それは便利! いいですね。
先生:そこで、自分が所有している土地に、できるだけ近い場所と条件の土地の公示価格を見つけるんです。実際の売買価格は、土地の形状や接している間口の広さ、周辺環境、駅からの導線など様々な要素に影響を受けますが、大体の目安がわかりますよね。公示価格に面積を乗じると、公示地価による評価額を計算できますよ。
「実勢価格」は国交省「土地取引価格情報検索」で調査
生徒:そうなると、実際の売買事例はどうやって調べるのでしょう?
先生:実勢価格を手早く自分で調べるのであれば、国土交通省の「土地取引価格情報検索」を使うといいですよ。大まかな所在地、取引時期、面積、平米単価、取引金額まで検索することができるから、参考になります。
生徒:取引があった場所を正確に知りたい場合は、どうすればいいのでしょうか?
先生:それは、宅建業の免許を持っている不動産屋さんに相談するしかないですね。宅建業者は、「レインズ」という情報端末を持っていて、正確な情報を調べることができるんですよ。
生徒:では、土地を売るときは不動産屋さんに相談しないといけませんね…。先生、ありがとうございました。
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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