(画像はイメージです/PIXTA)

いよいよ確定申告の締め切りも間近。今年度から副業を始めた人・退職してフリーランスになった人のなかには「確定申告、必要かどうかわからない!」と、焦っている人もいるのでは…。今回は、副業の確定申告・フリーランスの確定申告・ふるさと納税・住宅ローン控除について、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

「会社員ですが、副業でアクセサリーを売りまして…」

生徒:私は、昼間は会社員なのですが、週末の副業として、アクセサリーをフリマサイトで売っていたんです。確定申告しなければいけませんか?

 

先生:会社員で確定申告の義務があるのは、副業やアルバイトなどの所得の合計が年間20万円を超えた人なんだ。手作りアクセサリーの販売であっても、それによって所得が年20万円を超えたのであれば、確定申告しなければいけないよ。手作りアクセサリー販売の商売では儲かったのかな?

 

生徒:年間の売上高は、20万円を超えていたと思います。でも、材料費が高いし、フリマサイトではこちらが送料を負担するので、儲けはほとんどありません。今年は赤字だったと思います。

 

先生:所得が数万円という話であれば、確定申告しなくていいよ。副業で商品販売したときの所得は、売上高から材料費や通信費・配送料といった経費を差し引いた金額だからね。

 

[図表1]確定申告が義務付けられる主な条件

 

[図表2]主な副業の所得区分と確定申告が必要となる条件

 

生徒:私の副業は赤字だったので、お給料の所得と副業の赤字を相殺できれば、税金が戻ってくるのではないですか?

 

先生:いや、副業での儲けは「雑所得」となるから、赤字が出ても給与所得と相殺することはできないんだ。今後、商売が繁盛して、年間売上が300万円を超えてくるようであれば、事業所得として正しく申告すれば、副業の赤字とお給料の黒字を相殺することができるようになるよ。

 

★確定申告での節税のコツについてはこちらをチェック

【確定申告】副業・フリーランス必見!ふるさと納税・住宅ローン控除の使い方と節税のコツ

 

生徒:事業所得とするにはどうすればよいのでしょうか?

 

先生:個人事業の開業届を提出して、会計帳簿の記帳を始めなければいけないね。フリーやマネーフォワードなどクラウド会計ソフトを使えば簡単だよ。あと、一緒に青色申告の承認申請書を出しておくと、黒字になっても最大65万円の所得を控除してくれるから、儲けのうち55万円までは税金がかからないよ。電子申告すれば65万円の控除だね。

 

出所:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
[図表3]個人事業の開業届出の見本 出所:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続

 

出所:国税庁「青色申告書の承認の申請」
[図表4]青色申告の承認申請書 出所:国税庁「青色申告書の承認の申請

「脱サラして、フリーランスになりましたが…」

生徒:フリーランスの仕事だけで生活している友人は、確定申告の準備がたいへんだと言っていました。

 

先生:会社から給与をもらっていないフリーランスの場合、自分で確定申告することになるね。ただし、フリーランスでも会社員と同じように基礎控除のほかに扶養控除、社会保険料控除、医療費控除、寄付金控除といったすべての所得控除を差し引くことができるから、差し引いた後の所得がゼロになれば確定申告の必要はないよ。

 

生徒:医療費控除、寄付金控除、雑損控除の3つは確定申告しないと使えないと会社で言われたのですが、フリーランスの人たちは確定申告しなくてもよいのでしょうか。

 

先生:会社員の人たちはそうだね。年末調整で会社が所得税の計算をしてくれるけれど、これら3つの所得控除と、住宅ローン控除の1年目については会社が年末調整で使ってくれないから、使おうとするときは自分で確定申告する必要があるというわけなんだ。いったん多めに税金が取られることになるけれど、あとから確定申告を行って取り戻すということだね。

「ふるさと納税、寄附金控除が使えないケースって?」

生徒:ふるさと納税の場合は、確定申告しなくても寄附金控除を使うことができると聞きましたが、どうなんでしょうか?

 

先生:寄付先の自治体が5カ所以下で「ワンストップ特例」を使っていれば、確定申告は必要ないよ。ただし、医療費控除などほかの所得控除を使ったり、副業の所得が年20万円を超えたりして確定申告するのであれば、ふるさと納税も一緒に申告しないと、寄付金控除を使えないよ。

 

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相続で事業承継、個人事業を承継する際の青色申告承認申請書や開業届等の手続き方法を解説

「住宅ローン控除、最新の状況はどうなっている?」

生徒:そういえば、私の兄が、マイホームを購入するときに住宅ローン控除の制度が変わったのかと心配していました。いまどのようになっていますか?

 

先生:住宅ローン控除は、所得金額が2,000万円以下の人が、返済期間10年以上の住宅ローンを利用して住宅を購入したとき・リフォームをしたときに適用される減税制度だね。年末残高の0.7%を税額から差し引いてもらえるんだ。長期優良住宅または低炭素住宅などの認定住宅を新築で購入した場合だと、住宅ローンの上限額が2023年は5000万円、2024年は4500万円で、毎年0.7%が13年間にわたって控除できることになっている。中古だと、上限額が3000万円で、0.7%控除が10年間だね

 

[図表5]控除率が縮小される住宅ローン減税制度

(注)「認定住宅」は「認定長期優良住宅」と「認定低炭素住宅」。「ZEH」は再生可能エネルギーの導入などで年間の1次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅「ネットゼロエネルギーハウス」。「省エネ住宅」は省エネ基準適合住宅。2021年までは新築を消費税10%で購入した場合、さらに控除期間を3年延長

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

★ファイナンシャルプランナーの資産運用方法はこちらをチェック

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