条件付き確率
[図表1]は血液型別の人口の割合を表しています。
日本では、O型の人は全体の30%ですが、たとえばペルーではO型の人の割合は71%にもなります。
「日本国内で」という条件のもとでは無作為に選んだ人がO型である確率は30%ですが、「ペルー国内で」という条件のもとでは、無作為に選んだ人がO型である確率は71%です。
このように、ある条件のもとで求めた確率のことを「条件付き確率」と言います。
実際、条件付き確率は、人間の直感を裏切るものが少なくありません。ここではその一例をご紹介しましょう。
「99%確かな検査」で「1万人に1人の不治の病」と言われたら……
もし、あなたが健康診断をした結果、99%確かな検査で「1万人に1人の不治の病である」と診断されたら、どう思うでしょうか?
(注)ここで「99%確かな検査」とは、病にかかっている人の99%に対して陽性反応を示す一方で、病にかかっていない人の1%に対しても陽性反応を示すという意味だと思ってください。
なんだか絶望的な気分になるのではないでしょうか? でも安心してください。条件付き確率を使えば、あなたが本当に不治の病である確率は、1%もないことがわかります。
詳しく見ていきましょう([図表2])。
簡単にするために被験者の数は100万人ということにします。この中に、本当に「1万人に1人の不治の病」である人は100人います。検査は99%の確率で的中するので、このうちの99人は検査で「陽性」になります。ここまでは、当然の成り行きですね。
問題は、不治の病ではない99万9,900人の中の1%の人も誤って陽性になってしまうという点です。つまり、9,999人もの人がいわゆる「偽陽性」になってしまいます。
99%も的中する検査であったとしても、不治の病である人の割合が極端に低いため(逆に言えば、不治の病ではない人の割合が極端に高いため)、不治の病ではない人の中の「1%」(検査結果が誤り:偽陽性)に相当する人が多くなってしまうのです。
結局100万人の中には、正しく陽性である人と偽陽性である人とを合わせて計1万98人の「陽性」の人がいますが、この中に本当に陽性である人は99人しかいません。結局「検査に陽性である」という条件のもとで、本当に不治の病であるという条件付き確率はわずか0.98…%です。
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